強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ25)

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2人の足音が遠ざかっていくのを聞きながら、ゆっくりと振り返る

『さてと、時間稼ぎぐらいはできるだろうな』

英二とスキップが警察に駆け込むまで、どれぐらいかかるのか知らないが…
まあ、なるようになるだろう。受け身は、いやってほど習ってるしな

．

．

「うがッ」

ハンプティダンプティに連れ戻され、壁に乱暴に押し付けられたアッシュに「あのガキどもをどこへ隠した!?」と唾を撒き散らしながら怒鳴りつけている

殴られて全身あちこち痛い自分の体が思うように動かない上に、声を出すこともできない
鷹岡にやられるよりも辛い…なんだこれは

「…逃げちまったよ…空を飛んでな」

「貴様ッ!!」

「うッ！」

地面に叩きつけられたアッシュはザザッとこちらにまで滑り込んでくる
そっちを気にしてやれるほど、今余裕がない。超体育着って本当有能だったんだな

「もう勘弁ならねえ、ブッ殺してやる!!」

『殺れるもんなら殺ってみろ…』

あ"ーとか、ゔーとか唸りながら呟くと「どうするんだ、マービン。この不始末は」と男がハンプティダンプティに問いかけている

「全くだ…あんたのスケベ心がまいたタネなんだぜ」

「…場所を変えよう。こいつらの始末は、そこでつける」

『………………チッ』

スマホは英二が持ってったし、2台目のスマホはバイクにつけたまま
3台目はホテルのキャリーケースの中。くっそー、やらかしたな

ゆっくりと体を起こし、自分の口元を拭いながら頭を捻る
ここから先はアドリブになるだろう。スマホもなけりゃGPSも使えない上に律までいない
こうなりゃ、自力で脱出するしかないだろう

丸腰でいけるか？

いや、やるしかない

倉庫の前に1台の車がやってきた
結束バンドで拘束されている自分の手首を見ながら『死神かよ…』と6年前の出来事を思い出した

「さてと…お付き合い願おうか」

「こいつには用はないだろ。放してやれ」

『………』

「そうはいかん。お前はカーニバルに参加する気はなさそうだから、そちらのお嬢さんに踊っていただく」

「待てよ！」

『言ってる意味がわからん』

げぇっと舌を出していると、「連れてけ」とハンプティダンプティが部下に命令してアッシュを連れていく