4話 脱走だーい ページ21
「「……………」」
『ってわけだ』
「それ、俺に負担かかりすぎだろ…」
『安心しろ。殺るのは私だ』
「姉さん…」
一通り作戦の内容を伝えると、アッシュが「はあ…」と大袈裟にため息を吐いた
なんだよ、別に致すわけじゃないからいいだろ？
「なんで姉さんって、そう物騒なの？」
『そりゃ、中学の友達が悪ガキだったから』
「はあぁ…海斗姉さんって、悪ガキだったのか…」
『何溜息ついてんだよ。悪ガキいなくたって、すでに各国に無許可無遠慮に遊びまくってる時点で立派な悪ガキだろ』
「普通の悪ガキはそんなことしないよ」
べーっと舌を出し、オートマチックを撫でる
さぁ、オートマチックちゃん。6年ぶりに触るけど、暴発したりしないでちょーだいよ
「…殺すの？」
「……………」
『…殺さねえよ。この力は、守るための力だ』
英二にだけわかるように日本語で伝える
暗殺で通したこの才能は、人を守るために使うと決めた。たとえそれが絶対人を殺さなければならないと言う場面であっても、私は人を殺さない
それが、約束だから
『さ、奴らが来るまで体を休めておこう』
「姉さん」
『大丈夫、きっと成功する。必ずだ』
絶対成功させてみせる。こんなところでくたばることなんかできない
こちとら、鷹岡戦が待っているんだからな
オートマチックをひとなでしたあと、片膝を立て額を乗せて目を閉じる
幾分か眠って、目を覚ますと体が固かった
こりゃ寝る体勢間違えたな。ポキリと骨が鳴るのを聞きながら、横に倒したり前に倒したりと体を動かしていると、扉の施錠音が聞こえてきた
『おーい、起きろ』
「…？」
「姉さん…？」
「………きたぞ」
英二とスキップの肩を叩き、起きていたアッシュがボソリと呟けば2人はハッとして素早く体を起こして小さく2人で固まる
ちゃんと教えたことを守っているようで何よりだ
「よおアッシュ、気分はどうだい？」
「…俺たちをどうする気だ？」
「お前次第さ…。いい子になるなら、パパにとりなしてやらんこともない」
(パパ…パパ・ディノか)
どっかで聞いたんだよな…どこで聞いたのかまるで思い出せん
腰にゆるりと手を回し、オートマチックを差し込み、フーッとゆっくりと息を吐いたあと静かに気配をぼやかしていく
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年10月19日 11時
