0話 出発 ページ3
『はあ？アメリカぁ？』
「そうなんだよ！一緒に来て欲しい!!」
『本音は？』
「僕と伊部さんじゃ英語が通じない!!!」
『はあぁ…』
パンっと目の前で手を合わせたこいつは２つ年下のいとこ、奥村英二だ。大学が東京だということで、居候の身としてうちの家に住んでいる
家事洗濯などは分担しているものの、仕事に追われている自分のせいで負担は明らかに英二に偏っている。なので、お給金は弾んでいる
『大体、国際大学に直属の大学に進んでる時点で英語は大体できる前提だろ？成績だって見たところよかったじゃないか』
「そうなんだけど…でも、流暢に話せるのって海斗姉さんだけだし」
『はあぁ…』
「う…」
盛大に頭を抱えて大きなため息を吐いたのに英二は完全に肩を揺らした。手の指の間から見れば、英二はわかりやすくぺしょりと犬耳を垂れ下げたような顔になる。あ"ーも"ー…
頭をガシガシとかいて『わーったよ、行けばいいんだろ行けば』と半ば無理矢理に、強引に、投げやりに言い放てばパアッと顔を明るくして「いいの!?」と詰め寄ってくる
顔をグイッとそり返し、『好きにすればいい』とため息混じりに答えた
英二は「パスポートの準備だーい！」とウキウキとして部屋を飛び出していく
２つ年下の19歳があんなんでいいのだろうか…。少し心配になりながらも、まああんな感じで元気になっているんだし、なんともないだろうと思いながらパソコンと睨めっこを開始する
ここ最近、アメリカでの変死が気になっているところだが、まあ特に原因という原因が上がっているわけではない
本当に変死なのか…ただの自 殺なのか…
(…ふーん？)
自然と口元が緩み、カチカチとマウスを動かしクリックしていく
どうやら、アメリカ政府が何か企んでいると見えるな…その企みがわかれば大体のことがわかるんだろうな
『クックッ…楽しみだこって』
ぬるくなったコーヒーを口に流し込んだあと、クローゼットからキャリーバッグから着替えを数枚だけ中に詰め込んだ
パスポートの準備は英二がしてるだろう。あとは、日取りなどを決め、飛行機のチケットを購入するぐらいだろう
スマホを取り出して航空チケットの購入と手続きを済ませるために、英二のいるであろうリビングに向かい、3人分のチケット予約を進めた
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年10月19日 11時
