強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ19)

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ガッ、バキッという音が聞こえてくる
抵抗もできずに後ろ手で結束バンドで拘束されている私は、しこたま殴られているアッシュを助けることなくただリンチやって楽しいのか？と思いながら眺めていた

「ぐッ！ッてぇ…」

(そりゃ、蹴られて殴られまくりゃなぁ)

遠い目をしながら眺めていると、「もっといい子になれよ」とあの豚のように太った男が言う
こいつのことは、ハンプティダンプティというあだ名で通していこう

「お前なら、パパ・ディノに逆らっても無駄なことくらいわかるだろ？あの男から何を受け取った、あぁ？」

(ディノ？)

確かその名前、聞き覚えがある…
どこだ？どこで聞いたんだ？
目を閉じて記憶を漁っていると、「何を聞き出したいのか知らねえが、あいつらの耳でも削いでやりゃあ済む話だろ」と末恐ろしいことを言う。言ったな？それは、己がされても文句は言えないってことだぞ？

サバイバルナイフか、包丁か、ナタもありだな…なんてことを考えていると「フン」とハンプティダンプティが鼻で笑った

「今まで散々コケにされたんだ。少しは楽しませてもらわんとな」

ガチャガチャとベルトを外し始めた男に『おいおい、そっちの趣味か？』と肩をすくませて興醒めだぁと言う態度を取ると「お前人質だろ？」という問いかけに無視を決め込んだ。もちろん、問いかけてきたのはオーサーだ

「あら？やだなあ、なんかやらしいこと考えてるんじゃないでしょうねェ？」

『アホらし』

本当に興醒めだ。帰ろ帰ろ

「泣き声をあげるなよ…アッシュ！」

革ベルトを勢いよく振り上げたハンプティダンプティ
散々痛めつけて1人で歩けなくなったアッシュを抱えて英二とスキップのいる部屋にまで運び込み、乱暴に突き飛ばされる

「お前もしばらくここにいろ」

『…帰す気毛頭ないだろ』

ドンッと背中を突き飛ばしてきた上に部屋の扉を閉めて鍵までかけられる
仕方なく一応のためにガチャガチャと動かしてみるも、やはり開くわけがない

仕方ないか…と結論を出して頭の後ろをかいた後、アッシュと英二、スキップの方に歩いていく

「アッシュ！」

「しっかりしろ、大丈夫か!?」

「いててて、さ、触るな…痛ェよ」

『そりゃあんだけ殴られりゃな』

着ていたパーカーの下からインナーシャツを脱ぎ捨てて、その場に腰を下ろす