強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ18)

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アッシュとは違ってくすんだ金髪の髪の毛をした男が英二を見下ろすように立つ
目を細めて片手をポケットから出してタバコを指で挟み、『ふーっ』と煙を吐き出した

「コラァ、エーチャンに手ェ出すな！」

『……………あ"ー…』

「…？」

『殺してぇ〜』

「!?」

アッシュにしか聞こえない声で呟けば、アッシュは翡翠の瞳を大きく揺らした
銃はジーンズの間に挟んでいるから、抜き撃ちぐらいは簡単にできるだろう
だがまぁ、英二の前で殺しのスキルは見せたくない

「殺せ」

「えっ…」

静かに言い放たれた言葉に英二は目を揺らすと、いきなり目の前に銃口を向けられて「ヒッ」と怯えた声を上げている
ピンッと指でタバコを弾いて地面に落とすと、ザッと足で乱雑に火を消した

『おい、汚い手で英二に触るな』

ドスのきいた静かな声が埠頭に静かに響いた
男たちはゴクリと息を呑むと、英二から銃口をゆっくりと下ろす

『…………』

「……アッシュ」

「…チッ…やな奴だな、お前って」

殺されたくなければという意味合いも込めて彼の名前を呼んだオーサーという男に、アッシュは小さく舌打ちをすると腰にさしていた銃を足元に放り捨てた
銃を差し出さずにポケットからタバコを取り出してライターで火をつけて蒸かせる

「さっすが、人望の厚いボスだなァ…！
指の礼はたっぷりさせてもらうぜ！」

ゴッと殴られたアッシュはそのまま地面に倒れる
それを支えることなく、黙って見ていると「あんたもだぜ、ジャパニーズ」と声をかけられ余裕のある笑みで迎え撃つ

『なんだ？クソガキ』

「舐めた口、ききやがって…！」

向けられた拳を受けることなく、それを軽く弾いてそのまま手首を掴んで回して投げる
合気道のひとつでもあるそれをやってのければ、ダァンと地面に叩きつける音が響く

『…あぁ、悪い悪い。丸腰の日本人相手に殴りかかるとは思わなくて…つい、護身術が出たよ』

「嘘つき…喧嘩で得た力じゃん」

『なんか言ったか、英二？』

「ナンデモナイ」

ボソリと言ったんだろうが、聞こえてんだよ
にっこりと微笑みながら言ってやると、青ざめて目を逸らしてカタコトで答える英二に後で頬をつねってやるぐらいで許してやろうということで、この件は片付いた