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シュボッというライターの音だけが響く埠頭。口元にタバコを当てて煙を吐き出す
歯でタバコを軽く噛みながら歩いていくと、「オーサー、いるんだろう、出てこい！」と叫んでいる横で、トントンと指でタバコを軽く叩き灰を落とす
「やあ、ボス…。罠だってことはわかってたろう？
なぜ来た？」
倉庫の暗闇から出てきたせこい方の匂いを漂わせる男が現れ、フーッと煙を吐いた
「お前とは、いつかケリをつけなきゃならないと思ってたから。スキップはどこだ？」
『ドジっ子のうちのは？』
「残念だがこの件はもう俺たち2人だけの問題じゃねえんだ」
「なに？」
眉を寄せた彼…アッシュを一瞥した後、『んなことより人質2人だ』とタバコを指に挟み問いかけると、「なんだお前」と訝しげに見られる
『お前らが連れてった日本人の身内』
「へぇ…？」
その時、ガタンという音が聞こえ目だけをそちらに向けると、拘束されているスキップと英二がいた
天を仰ぎたくなったが、『はあああ…』という大きなため息だけ吐いておいた
「アッシュ！」
「姉さん！」
『英二、お前マジでぶん殴るぞ』
「えぇ…」
声をかけてきた英二にビキビキと浮き上がるほど青筋を立て、タバコを握り潰しそうになるほどの剣幕を見せれば英二は青ざめて一歩下がる
「ようこそ…アッシュ・リンクス」
『…ん？』
倉庫の奥からシャッターをくぐって出てきた豚のように太った男が見えた
どこかで見た気がして眉を寄せた。はて、どこだったか…
「そういうわけか…。組織の犬に成り下がるとは、お前も堕ちたな。オーサー」
「お前のやり方は手ぬるいのさ。さぁ、銃を捨てな」
スーーッハーーッとタバコの煙を吸って吐き出し、全く抵抗をさせないようで笑いが止まらなくなりそうだ
なんとか笑いを堪えると、「だめだアッシュ！殺されるよ！」とスキップが心配して叫ぶ
「2人を放せよ」
『そいつら人質にしても意味ないだろ。何にもできないんだから』
アッシュの隣でパーカーのポケットに両手を突っ込みながらタバコを咥えて言うと、「何もできないって…ひどいよ、姉さん…」と英二が日本語で呟く
だってほんとのことだろ。連れてかれてる時点で
「アッシュ、こいつはなんだ？スキップが庇ってたそうだが…」
『……………』
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年10月19日 11時
