強者の首を狩れ【BANANA FISH】 (ページ15)

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アッシュside

外に出て走り去る車に向かって銃を構えているお姉さんがいる。構え方からして只者ではないし、さっきの乱闘騒ぎで楽しそうに捌きまくっていたのを見て一般人とは思えなかった

ガチャリ…とサーフティすら外していることからして、銃の扱いにも慣れている

「おい、お姉さ…」

ドンッと腹に響く重い銃声
どこを狙ったんだと遥かに遠くにいる車のサイドミラーを跳ね飛ばしていた
正確に撃ち飛ばす技量もあれば、度胸もある。あの日本人に肝っ玉母ちゃんだなんて言ってたが、お姉さんもなかなかのクレイジーさだ。イカれてやがる
車に乗ってるのは自分と一緒に来ていた日本人だっていうのに、そいつに怪我したらどうするんだ

『チッ…外したか』

(外した!? どこが!?)

頭がイカれてるのかわからない俺はお姉さんのそんな発言にドギマギしていると、「アッシュ！」とバイクに乗って走ってきたショーターがいた

「って、昼間のお姉さん!?」

『……律、英二のスマホの位置情報は!?』

《スマホが途中で窓から投げ捨てられてしまって辿ることが不可能です!!》

『じゃあ、車が走って行った方面まで人気のない場所は!?』

《それでしたらいくつかあります！》

『ピックアップしていけ！』

《了解しました!!》

『バイク借りるよ!!』

「え、あ、おい！」

『律！』

《こちらがピックアップしたものです！》

『順番に回ってる場合じゃないな…。おい、そこのどっちか！』

「「!!」」

バイクに乗ってエンジンを蒸し始めたお姉さんは、俺たちに振り返ると『どっちか後ろに乗って、どっちか警察か駆け込め。奥村英二助けに行った日本人がいるって言えば、なんとかなる』と俺と同じ翡翠の瞳を夕日に照らして鋭く見ている

「え、でも」

「ショーター、頼む！」

「アッシュ!?」

お姉さんの後ろに乗りこみ、しっかりと腰に腕を回すとショーターのバイクとは思えないほどにデカイエンジンが鳴り響く
ギャギャギャとタイヤが回り始め、前輪を浮かして走り始める

(ま、じ…か、よー!?)

そんな乱暴すぎる運転にドギマギしながら力強くしがみつくと、『律、マップ表示！』とエンジンに負けないデカイ声で叫ぶ

《了解致しました!!》

スマホから聞こえてくるそんな声よりも、振り落とされないようにしがみつくばかりの俺って、なんか恥ずかしいなオイ