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ﾌﾞﾌﾞｯﾌﾞﾌﾞｯ
『…？』
スマホが揺れているのに気づき、足を止めて『伊部さん、先行ってください』と伝え、ポケットからスマホを取り出した
画面には、磯貝の文字が表示されている。急ぎの用？だとしてもあいつがこんな時間にかけてくるか？
応答ボタンを横にスワイプして、耳に当てる
『磯貝？どうした？こんな時間に…そっちだと』
《お前今どこにいる!?》
『は？どこって…アメリカのニューヨーク』
《そこから早く逃げろ!!!》
『はあ？なんで？なんにもないし…』
《鷹岡だ!!!》
『…はあ？』
《鷹岡が脱走して、触手を手に入れて今お前を殺しに向かってる!!》
『!!?』
磯貝の声を遮るように入り口からバタバタと大人数でなだれ込んでくるのが見えた
バッドを振り回し、ビリヤード台やキューをぶち壊していく
スマホの向こうにいる磯貝から《おい、嶋原！》という声を無視して英二とスキップの首根っこを掴んでカウンターの奥に押し込み、伊部さんをテーブルの下に引き摺り込む
『悪いが磯貝、急用ができた！』
《おい、嶋原！おい、お…》
電話を切ると、そのままカウンターの奥にいる英二に投げ渡す
「姉さん！」という声に『黙ってそこにいろ!!』とだけ返し、鉄パイプやバッドで襲ってくる奴らから武器を奪い取る
「ったく、こんな狭いとこへゴチャゴチャ入ってきやがって！」
『鷹岡が襲撃の前に、ガキの相手たぁ…中学以来だな』
「海斗ちゃん、強ェ…」
「姉さん、中学の時すごかったから…」
ガンッとカウンターにパッドを下ろした相手に膝蹴りを入れた後、パッドを奪い取りブンブン振り回してくる奴らに応戦する。驚くほどに狭いこのバーカウンターに舌打ちをしながらも、捌いていく
「あんた、強いな！」
『そりゃ、どうも…。強くもなりたくないのに、友達に付き合わされた結果だな』
「なにがあったんだよ」
驚くほどに懐かしい…体が軽く感じる
いつになく心地よくも頭の中がクリアになる
楽しいという気分と、もっとやりたいという気持ちが相まって、全身に力がみなぎってくる
驚くほどに視界がクリアになる
全力で振り下ろしてくるバッドの勢いなんてたまって見える。一年間間近で見続けていたあのマッハに慣れたせいでもあるんだろうが…
ｶﾞｷｯ！
『マッハ20より遅いのは、止まって見えるんだよ』
今この時を、逃さぬようにしよう
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年10月19日 11時
