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ハチ公前まできた佐々木たちは、村中がプラーミャの手首を縛っているところを目撃した
「えっ、村中さん?」
「ん?キミは…佐々木くん、だったな」
「はい」
「佐々木、知り合いか?」
「ちょっと」
平野に聞かれた佐々木は、カチャリという微かな金属音が聞こえたのに気づいた
それは、いつの日か姉が見せてくれたものだった
(今の…)
パッと顔を上げると銅像の影から様子を窺う女…エレニカが銃を向けていた
銃口がプラーミャに向けられており、「ダメだ!!」と反射的に叫び体が動く
「ダメだ!!」
「コ…コナンくん!」
エレニカの視界にスケボーに乗ったコナンが飛び込んできた
コナンは大きくジャンプしてエレニカたちの前にある植え込みのレンガに立ち、佐々木もすぐに駆け寄る
「撃っちゃだめだ、エレニカさん!!」
「どけ、少年!! 邪魔をするならお前も撃つぞ!」
「プラーミャを撃ったとこほで、息子さんは帰ってこないよ」
「お前になにがわかる!私は息子も夫も兄もみんな奴に殺された!
もう元の生活には戻れない!悪事もたくさん働いた!奴を殺すためだ!全てを犠牲にしてここまできたんだ!!」
「殺しちゃ、ダメだ」
「この手で殺さないと気が済まない!どけ、少年!」
憎悪を剥き出しにして吠えるエレニカに、佐々木は首を横に振る
「それでも、ダメだ」
「!」
「姉さんが言ってた。何があっても、復讐だけは絶対にしちゃいけないって…松田さんが…絶対に喜ばないって」
「…!」
「死んだ人はそんなこと、してほしくないって思ってるからって…姉さんはそう言ってた」
拳銃を持つエレニカの手に、そっと佐々木とコナンが手を添えた
そして拳銃をおろさせる。エレニカは抵抗しなかった
「………なぜ、殺されねばならなかったんだ?
夫は警察官として政治家の子どもだった殺人事件の容疑者を逮捕しただけだ。それを裁判で証言しようとしたら消された
息子を巻き添えに。夫と息子は何か悪いことをしたのか?なぁ、教えて」
エレニカをそっとコナンが抱きしめた
涙が止まらなくなったエレニカは、嗚咽をあげて号泣する
佐々木は、ぐっと目を閉じる
すると、村中が意識のないプラーミャを抱えて歩み寄ってきた
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年5月4日 21時