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「だからスマホじゃないんだね」
《これでもし大爆発が起きたとしても、キミは無傷だし地上の誰もそのことに気づきはしない》
黒電話を下ろした安室さんの首には、不自然なほど大きな銀色の首輪が巻かれていた
「その首輪みたいなものって…」
《そう、爆弾だ》
安室さんはそう答えてオレに首輪爆弾を見せるようにくるりと回った
《時限式なのか、無線式なのかも不明。解体方法もわからない。悔しいけどお手上げなんだ》
「…………」
《捜査一課の刑事さんたちが僕に会いたがっていることは知っている。でもこれじゃ、会うわけにはいかないだろう?それに》
「彼らに面が割れると、潜入捜査もご破算だしね」
《ポアロのアルバイトも辞めなくちゃならなくなる》
安室さんは頬を緩めて肩をすくめた
「それで、ボクを呼んだんだ」
納得すると安室さんは黒電話を置いて床に座り込んだ
《僕の知っている情報は全て伝える。だから一課の捜査に協力してほしい》
そう言って頭を下げた安室さんに、背後にいた公安刑事の2人が小さく動揺していた
オレはあぐらを組んで自分と同じ目線になった安室さんに尋ねることにした
「で、3年前の11月6日、安室さんは松田刑事と佐々木刑事に会ったんだよね?」
《ああ、会ったよ。同期5人で、久しぶりにね…》
ー3年前・11月6日ー
安室side
あの日は松田と佐々木だけが遅れて萩原の墓がある月参寺にやってきたんだ
「やれやれ…」
「遅刻だぞ」
「来ないかと思ったよ、松田、佐々木」
「悪い悪い」
『すまない。ここに向かう途中、逃走した犯人を追跡していたんだ。こいつと一緒にな』
萩原の墓の前で手を合わせていた僕、伊達班長、ヒロが足音のする方に振り返った
そこには白バイ隊員の制服を着てヘルメットを持って現れた凛々しい姿の佐々木と、仏花を持って現れた松田がいた
自分の隣を歩く松田をチラリと見て皮肉げに言う佐々木に「うるせぇな」と口を尖らせた松田は「てめェがいなくても、捕まえてやったよ」と不満げに言う
素直じゃないなと僕たちは微笑んで眺めていた
「捜一に移ったんだってな。居心地はどうなんだ?」
「まあまあってとこかねぇ」
「俺も来月から警視庁に配属が決まったから、下手うって追い出されないでくれよ、先輩!」
「バーカ、刑事としてはお前の方が先輩だろうがよ」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年5月4日 21時