元殺し屋はヒーローになる28 (ページ43)

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重ねられた唇から熱い吐息がきて、顔を真っ赤にして焦凍のコスチュームを掴む
強引にねじ込まれた舌にパニックになって離れようとしても後頭部と背中をがっちりと抑えられて逃げれない

胸を押しても、叩いても全然びくともしない
今までに感じたことないぐらいに強く抱きしめられて、キスまでされて、私の知ってる焦凍じゃなかった

『んぅ…ひっ…んっむぅ…ぁん…』

「…ん…」

(やだやだやだやだ！なに、なにこれなにこれ…！)

E組の奴らとしたビッチ先生のキスじゃない。アッシュとした空港でのキスじゃない
やだ、なにこれ、身体、熱くなってきた…

ピクンと腰を中心に反応した体に驚きながら、熱い分厚い舌を絡ませる
どうしよう、今すごく恥ずかしい顔してる

ドクンドクンと動く心臓を感じながら、鼻から抜けていく息や舌が絡み合う音に、もうどうすればいいのかわからない

やっと離れた途端に、肩で息をするように息をして焦凍を見上げれば、後頭部を押さえていた手を頬に寄せて親指で唾液で濡れた唇を拭ってきた

「関係ないとか、家族じゃないとか、二度と言わせない…
もうお前を1人にさせない、ひとりぼっちになんて絶対にさせない…絶対に、俺のそばにいろ」

『しょ…ぅと』

「お前に、関係を切られる方がよっぽど辛い…死にてえくらい辛いんだよ…」

『…………』

「大嫌いなんて、嘘でも言うなよ…好きなんだ…ずっと、ガキの頃から…馬鹿みたいに、好き」

力強く抱きしめられて、震えているのがわかった
焦凍の背中の奥には、A組のみんなが涙を浮かべながら頷いていた

『……「関係ない」なんて言って…ごめんなさい』

「…わかってる」

『……“嫌い”なんて言って…ごめんなさい…』

「わかってる、わかってるよ…」

『大好き…みんなのこと、大好きなんだよ…っ』

「うん」

『だって、こうでも言わなきゃみんな、止まってくれないからっ』

「うん、知ってる」

『だから、嘘でも言わなきゃって…思って…違うの、嫌いじゃない…好きだから、みんなのこと、大事な友達だから』

「わかってる、わかってるよ」

あったかい、大きな手が頭を上下に優しく撫でてくれる
耳元でささやくような、安心させるような声に、焦凍のコスチュームを掴んで『ごめん、ごめんなさい…ごめんなさい…』と顔を埋めて謝った