元殺し屋はヒーローになる28 (ページ42)

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「オーバーホールを持ったお前の歩みは、なにも間違っちゃいねぇ。ソレを持ったからって、てめェの何かが変わるわけでもねぇ
けど今、お前はフラフラだ。てめェの理想である夢もオールマイトだけじゃ超えられねぇ壁がある
お前が拭えないもんは俺たちが拭う。理想を超えるために、お前も雄英の避難民も街の人も、もれなく救けて勝つんだ」

みんな、とっくに

私よりもずっと先にいて

『……………それでも、私は…みんなとは』

「………………みんなとは、ってなんだよ」

「と、轟…」

「みんなみんな、お前の言う“みんな”って誰だよ」

『…………』

「俺の名前すら呼んでくれない。どうすればいい？どうすればお前の責任も重みも背負える」

パシャン、パシャンと水音を立てながら私の前に立った焦凍は、眉を寄せて泣きそうな顔をして私を見つめている

「何度も俺を助けてくれた、守ってくれた、笑顔にしてくれた。それを次は俺がしたい。助けたい、守りたい、笑顔にしたい
昔からずっと俺を守ってくれたお前にできる限りの恩返しがしたい…
家族じゃない？関係ない？ふざけんな」

『！』

「轟！」

胸ぐらを掴んできた焦凍が「家族だろ！関係あるだろ！ふざけんな！」とオッドアイを真っ直ぐと向けて髪を振り乱して叫んできた

「俺とお前が血が繋がってなくても、誰が何と言おうと、誰の子どもでも、お前と俺は家族だ!! 赤の他人がなんと言おうと、俺たちが轟全員、青子のことを家族だって思ってる限り家族なんだよ!!!
戸籍が違う、他人が言うからそんなことどうでもいい!!!」

『……………』

「なぁ、青子…俺は治崎破無でもいいんだ。お前がお前であるなら、なんだっていい…少しでもいい、お前のその重荷を俺に背負わせてくれ…
家族だろ？俺たち、家族じゃねぇか」

『……しょ…と』

「好きな女のためならなんだってしたいって、思っちゃ悪いのかよ」

胸ぐらを掴んでいた手が、肩へ、頬へと移動した
しっかりとした熱くて優しい手が、頬に触れた時に細く小さく聞こえたその言葉に耳を疑う

小さな小さな声が私の耳にはっきりと聞こえてくる
喉が熱くなって、目の奥が熱くなって、唇を噛んで泣くのを我慢してたら唇に優しく強引に乗せられたモノに驚く

「「えぇっ!?」」

『っ!? しょっ…』

「うるせぇ、黙ってろ」