元殺し屋はヒーローになる28 (ページ12)

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レディ・ナガンが銃口を私たちではなく違う方向へと向けていた
その方向には、何かを叫んでいる人影が見えた

「まだか！早くオヤジとハナの元に」

「治崎!!!!?」

『…お兄ちゃん』

なん、で…お兄ちゃんが、いるんだ？

レディ・ナガンside

ー数日前ー

「そのガキを知っている」

「は？」

「俺の計画を阻んだ上に、妹を奪い去った…英雄症候群の重症者だ」

「“使える”どころか、運命の糸だな。標的(ターゲット)の確認用としてお前も連れてくぞ」

「条件がある」

「私怨の肩代わりはしないよ」

「違う！そんなものは…いい…！全て失った…俺に残されたのはもう…組長(オヤジ)と破無(ハナ)に会わせろ…
俺の妹…奪われた妹…たった1人の、家族…あいつら(・・・・)になんか、傷つけられていいものじゃない…
オヤジ…ごめんなァ、オヤジ…ハナ」

あの表情を、見て

ー現在ー

「契約はとっくに履行したぞ。早くオヤジとハナに会わせろ!!」

『なん、で…どうやって…タルタロスから…そんな、お兄ちゃん…!!!』

ターゲットのうちの1人、女の方が治崎を見て「お兄ちゃん」と言った
あいつが治崎の妹ならば余計に連れて行くしかない

ジャムるリスクを伴うが…ここからは弾速を上げる

「英雄(ヒーロー)教育が最も嫌がることだ……
それがどんな人間であれ…己の過失で死なれちゃ、寝覚が悪いだろ？」

ﾄﾞｯ

(思考が増えて判断を迷えば動きは鈍る。そこを仕留め)

ｸﾞｲｯ

“個性”「発勁」

一定の動作を繰り返すことで、運動エネルギーを一時的に蓄積&放出

(撃たれてる間、体を守るために足を曲げ伸ばしして貯めていた+(プラス)!! ワン・フォー・オール45%+(プラス)!! 遠心力!! 僕ら世代なら誰もが知ってる
鉄砲よりも早く駆けつけるオールマイトの姿を、疑似100%)

治崎を、突き飛ばした

あり得ねぇ

弾に追いつきやがった!!

いや!! それ以上に

銃口を向け発砲する頃にはもう方向転換にシフトしていた!!

こいつは

「話は後だ、治崎」

治崎のいる屋上に浮遊するガキを見て、小さく舌打ちをした