元殺し屋はヒーローになる28 (ページ45)

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243話理解と不理解ページ45

「お、目え開いた！」

「13号！起きました」

「ああ、よかった！聞こえるかい、緑谷くん！」

「…………」

「今現在、ほとんどの民間人は各地避難所に移動してくれてる
まだ外に残っているのは脱ヒーロー派の自警団と、ダツゴクに乗じて暴徒化した過激派
脱ヒーロー派も疲弊して避難所に入る人も増えてる
過激派は多くが徒党化している分、動きは追いやすい。避難が進みどちらに対しても人員を割けるようになった。皆最善を尽くして状況を変えている。外でキミ達がしてきた人助けは、他のヒーローや警察が肩代わりできる範疇になっている」

「ゆ…雄…英…？」

『…ん…』

「起きたか、青子」

『焦凍…』

いつの間にかオールマイの像があった場所ではなく、様変わりした雄英にいた
はくっ…と口が動いて焦凍の腕の中から降りようとすると「離さねえぞ」と言われた

「もう絶対、なにがあっても」

オッドアイでそう言われて、力強く言われて、抵抗できなくて、どうしても無理なんだって…思った

「雄英バリア発動中。この壁も機能のごく一部にすぎねぇって」

「システム聞いたらマジ腰抜かすよ!! 士傑とガッチャンコするって。青子ちゃん知ってたね！」

『ぁ…うん』

葉隠ちゃんに言われて頷き、『焦凍、自分で歩く』と見上げても下ろしてくれなかった。むしろ、力を強くするばかり

『逃げたりしないよ、焦凍の隣にいるから』

「………嘘じゃないよな」

『嘘じゃないよ。約束する、焦凍から離れないよ』

「…ん」

頭を抱え込むようにして抱きしめれば、焦凍はすり…と静かに猫のように頬を擦り寄せた
大きい猫だと思いながらサラサラとしていて、濡れている髪の毛を撫でて顔を離すと「んー…」と嫌そうな声を上げながら下ろしてくれた

『ありがとう』

「ん」

小さく微笑んでくれる焦凍から、雄英バリアを見上げる

A組のみんなの想いには、応えたい

でも

「戻るのは…」

『…ダメなんだ』

受け入れてくれるわけがない

どれだけ話そうと、人の心は簡単には動かないから

かすかに聞こえてくる騒動に「中が騒がしい」と13号が言う
雄英バリアが開いて焦凍の手が離れた。振り返れば「俺は今入れないんだ」と眉を落として微笑むから唇を噛んだ