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1話 同僚 ページ6

パタン、と静かに閉まったドア。私を抱きしめているのは、タバコの匂いを纏うサングラスの男だった












『ま…つだ』

「………………ハギが死んだ」

『っ!』

「なぁ、佐々木…」

『な、に…』

「お前だけは絶対…長生きしろよ」















ギュッと力を込められた。震えているのがよくわかる
今は、何を言ってもいつものように返してはくれないだろう















『松田も、長生きしてくれ…頼むから』

「…ん」



















萩原の墓参りに行くためにスーツに着替えた
萩原が死んでから1ヶ月が経った。爆弾解体中、止まったはずのタイマーが再び動き出したらしい



そして、そのまま…


















『全く…もう少し花を選ぶことはできなかったのか?』

「いいだろ。飾りゃなんでも」

『全く…ガサツな幼馴染を持って、萩原も大変だっただろうな』

「この野郎…」













パシャンッと墓石に水をかけて掃除を始める
綺麗に磨き上げたあと、花と線香を上げて手を合わせる



















「悪かったな、付き合わせちまって」

『構わないさ。萩原は同期だったからな』

「…………」

『………松田、お前…特殊班係に転属希望を出したそうだな』

「あぁ。ハギの敵討ちのためにな」

『…松田、そんなことは萩原は望んで』

「わかってる。けど、俺の気がすまねえ」

『…松田』












それから私は何度も何度も彼を止めたが、彼は聞く耳すら持たなかった

















『松田!少しは私の話を』

「うるせぇなぁ…何回も言わせんな。俺はハギの敵討ちのために転属するんだよ。お前に言われたって今更変えるつもりはねぇよ!」

『松田!いい加減にしろ!そんなことをしたって、萩原が帰ってくるわけでもないんだぞ!』

「んなことわかってるって何度言わせるんだよ!」

「またやってるよ。爆発物処理班の松田と交通部の佐々木…」

「ある意味、日課だよな」













廊下で怒鳴り合う私たちを他の課の奴らは眺めながら横を歩いて行くばかりだった
私は「お前は俺の母ちゃんでも何でもないだろ!」と怒鳴って歩いて行く松田を見送るばかりだった















『…………死ぬなって、言ってるんだぞ…松田の大馬鹿野郎…』










同期が死んで悔しいのは私も同じなのに
何でお前はそれをわかってくれない。復讐も敵討ちも何も生まない














頼むから…生きてくれ

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月25日 10時

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