19-2 ページ50
村中さんが会計を済ませているのを入り口で待っていると、「そういえば」と蘭がクリスティーヌさんに振り返った
「式を挙げる場所、とても素敵でした」
「でしょう？渋谷の街が一望できて、一目で決めたの」
「あ…昨日は天使が悪くて…」
「もやがかかっててよく見えなかったよね」
「まぁ…だったら明日、皆さんで見学にいらっしゃらない？」
「おいおい、毛利探偵がこんなときに…」
会計を済ませた村中さんが止めようとすると、クリスティーヌさんは「え〜」と不満げな声を漏らした
「ハロウィンの飾り付けもあんなに素敵なのに、見られないなんて可哀想だわ。いいでしょ？」
と、甘えた声で懇願し左手で村中さんの頬に触れる
「まあ、キミがそこまで言うなら」
「ありがとうございます！」
(結婚したら尻に敷かれそうだな…)
甘えられてデレデレしている村中さんを見てそう思った
喫茶店を後にしたオレたちは、病院前に停まっていたタクシーで帰る村中さんたちを見送る
「お父さんが言ってたんだけど、村中さん昔はすっごく厳しい人で「鬼の村中」って恐れられていたそうよ」
「そうなの？今の村中さんからは想像できないね」
「きっとクリスティーヌさんのおかげで優しくなったのね。あ、もうこんな時間。私たちもそろそろ帰ろっか」
いつの間にかうっすらと暗くなってきたあたりを見たあと、蘭が浮かない顔で空を見上げている
「蘭姉ちゃん。ボク阿笠博士のところに泊まるから今日はおじさんのそばにいてあげて」
「え、でも…」
「ボクは1人で大丈夫だから」
「……ありがとう。じゃあ気をつけてね」
「うん」
蘭はそのまま入り口に向かい、中へと入っていく
自動扉が閉まるのを見届けてからオレは前を向いたまま言った
「そこにいるんでしょ。ボクに何か用？」
村中さんたちを見送りに病院の玄関まで来た時、駐車場に不審な車が停まっていたのには気づいていた
オレの言葉に柱の陰からスーツ姿の男が2人出てきた
オレは病院の駐車場に停められた車に乗り込むと、いきなり目隠しをされた
どうやら、これから向かうところは知られたくない秘密の場所らしい
オレは大人しく従うことにした
どこに向かってるのかはわからないが、その場所に誰がいるのかは予想ができたからだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年4月25日 10時
