18話 負い目 ページ48
「松田さんが関わっているから、彼女は冷静じゃない」
「白鳥さん!」
「……なんて顔をしているようだね、キミ」
白鳥は高木の顔を見てニヤリと笑った
「え、えぇ。松田さんの名刺を見てから佐藤さん、周りが見えていない気がして…
白鳥さん、前に言っていましたよね。彼女が松田刑事のことを引きずっている限り、我々に勝ち目はないって」
「ああ。だがそれは間違いだった」
「え?」
「勝ち目がないのは僕だけだった。違うかい?」
「あ…は…」
顔を赤くした高木は下を向いた
「でも…やっぱりダメなんですよ。僕なんかじゃあ」
「……しかし、キミもずいぶん出世したもんだ」
「しゅ、出世!?」
「自ら命を賭して大勢の命を救った伝説の刑事に嫉妬しているんだから」
「いや、僕は嫉妬なんて」
背を向けて歩き出す白鳥に高木がすぐに答えると「松田刑事のことは関係ない」と白鳥が言う
「事件を横取りされたのなら取り返せばいい。急がないと佐藤さん、1人で公安に怒鳴り込むぞ
それと、松田刑事と佐藤さんはそう言う関係じゃないさ。どちらかと言うと、松田刑事と佐々木さんだ」
「えっ」
「言っていただろう。あの2人の大喧嘩。しかも、松田刑事は彼女に告白をしてから殉職した」
「そんな…」
「それから1週間、彼女は彼の後を追うようにしてこの世を去った…。そうならないよう、キミもしっかりしたまえ」
白鳥に言われて高木はくよくよ悩んでいる場合でも何でもないことを理解した
「す、すみません。ありがとうございました!」
高木はペコリと頭を下げて佐藤の後を追いかけた
(まぁ、キミ達の恋路はかなり邪魔をした負い目があるからね…)
その時、ポケットに入れていた白鳥のスマホが震えた
ポケットから取り出して画面を見ると、恋人の小林からの着信だった
「あ、小林先生」
白鳥は嬉しそうに頬を緩めてすぐに電話に出た
警視庁を出たコナンは、その足で小五郎が搬送された日比谷救急病院に向かった
病室では頭に包帯を巻いた小五郎がベッドで眠っており、その横で蘭が付き添っている
「骨は折れてなかったんだけど、頭ををよく打ったみたいなの。明日、別の病院に転院して詳しい検査を受けるんだって」
小五郎の首には頸椎家庭用のネックカラーがついており、ガウンから覗く胸元にも包帯が巻かれていた
89人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月25日 10時