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「あとから佐々木さんに聞いたら、松田くんと会ったらしいの。そこで、名刺を交換したらしいわ」
「松田刑事の?」
「えぇ。お互いの名刺を交換して、しかも7日の日にデートを取り付けたらしいわ。渋谷のスクランブル交差点で待ち合わせ」
「え、あの人混みで?」
「えぇ。どこに行ってたのって聞いたら、“デートの誘い”って答えてたのよ」
意外とチャラい…
「松田刑事が殉職したのは佐々木刑事をデートに誘った11月7日。名刺を渡すチャンスがあったのはこの4日間だね」
「でも、4日は1日内勤だったし、5日も護送任務で留置所と拘置所の往復で終わり。7日は彼が亡くなる直前まで連続爆破犯の追跡をしてたから…」
「佐々木刑事は?7日の日」
「非番だったのよ。もともと、7年前からその日だけは有給を取ってるのよ、彼女」
「へぇ…ってことは、名刺を渡すチャンスがあったのって…」
テーブルに置かれた日報から顔を上げて正面の佐藤刑事を見る
「そう、11月6日だけ」
「だけど、勤務が終わってから誰かに渡した可能性もあるよね?佐々木刑事と何か約束とかは?」
「なかったわ。アイツ、うちの課に来てから1週間、寮に帰らないで庁内に泊まり込んでいたのよ
今から思うと、連続爆破事件のことを調べていたんでしょうね。佐々木さんは実家暮らしだし。松田くんは一課にいるか交通課の佐々木さんのところに行って休憩時間や暇な時間はそこで時間を潰してたわ
今思うと、彼なりのアピールなのかもしれないわね」
佐藤刑事の脳裏に、椅子を並べてその上で毛布をかぶって寝ている松田刑事と、交通課にいる佐々木刑事に話しかけていく献身的な松田刑事の姿が浮かんでいるらしい
「でも、なにか特別なことがあったって記憶はないのよねぇ。強盗犯捕まえて、バスの暴走を止めたでしょ。その時はたまたま現場に居合わせた佐々木さんと一緒に止めたし、あと飛び降り志願者の制止。午前中はそんなものだったかな。バスを止める時は松田くん、佐々木さんに色々と文句言いながら一緒に止めてたわ」
佐藤刑事から聞いた話で、午前中だけでそんなに事件があっても特別じゃないのかとオレはドン引きし苦笑いした
「午後は、担当事件の聞き込みだった。佐々木さんはバスの方を引き受けてくれてたし」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月25日 10時