12話 結婚式 ページ33
ー東京・渋谷ー
渋谷駅東口に直結する複合商業施設「渋谷ヒカリエ」の上層階にあるチャペル
メガネと立派な髭を生やした神父が立つ祭壇の奥は一面ガラス張りになっていた
雨のおかげで景色は見えないが、晴れていれば綺麗な景色を見ることができるだろう
神父の前には髪をオールバックにしたタキシード姿の高木刑事が緊張した顔で正面の扉を見つめていた
参列者には白鳥警部や千葉刑事など警察官の顔ぶれが並ぶ中、オレたちも扉の方を見ていた
「いつかこんな日が来るとは思ってましたけど…」
「ついにやったね、高木刑事！」
「でもよぉ、えらい急に決まったよなぁ」
そう、元太の言う通りこの結婚式はあまりにも急に決まってオレたちも驚いたのだ
ーとある立体駐車場ー
マツダRX-7が停まっていた立体駐車場。運転席には安室、助手席には風間が険しい顔で座っていた
「本当に来ますかね？」
「匿名のタレコミだ。望み薄かな」
「この男なんですよね？」
風間は持っていたタブレット端末の画面を人差し指でなぞった
「大観覧車で爆破テロ 警察官1人死亡」
「首都高付近で轢き逃げ 白バイ隊員1人死亡」
という見出しの記事がスクロールされて、犯人の顔写真が表示される
「降谷さんの同期を、その…」
「…………」
「すみません、余計なことを」
「どうも引っかかるんだ」
「え？」
黙っていた安室に風間が慌てて謝ると、安室の言葉に驚き顔をあげる
安室は風見のタブレット画面をチラリと見た
「爆弾の知識はともかく、脱走の計画を練り、実行するだけの力がその男にあるとは思えなくてね」
「それって、つまり…」
風見が尋ねようとした時、安室がふいに前を向いた
風見も前を向いてハッとすると、息を切らした男が首元を押さえながら車の前を横切っていくのが見えた
ーチャペルー
ウェディングドレスに身を包んだ佐藤刑事が松本管理官と並んで2人揃ってお辞儀をする
「わぁ〜」
「佐藤刑事、とっても綺麗です！」
いつもと違う佐藤刑事の姿に隣で写真を撮っている蘭をチラリと見る
(オレもいつか蘭と…)
「ん？どうかした？コナンくん」
「へっ!? な、なんでも無いよ！」
「このガキんちょ、蘭を嫁にしたいとか思ってるんじゃ無いのぉ？」
「まさかぁ！」
(正解です…)
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年4月25日 10時
