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「え?」
「店の中に爆弾を仕掛けたって言うガセネタで警察を誘き出し、刑事が店内の爆弾を探している間に本物を車の中に仕掛けたんだよ…
店の外に避難させられた大勢の客の影に隠れてな…
さっき見た感じだと、起爆装置は多分車のドアを開けると安全ピンが外れもう一度開けて外に出ようとすると着火する仕掛け
問題は白鳥警部がどうしてすぐ外に出ようとしたかだけど…」
「……………」
「…秀鳴さん、大丈夫?」
「え?あ、うん…ごめん、姉さんと松田さんのこと、思い出して…」
その場にしゃがみ込んだ俺に「確か、あなたのお姉さん」と哀ちゃんが俺の背中をさすりながら思い出したように言う
「交通事故で亡くなったのよね…」
「うん…犯人はまだ捕まってないんだけどね」
「お兄さん、大丈夫?」
「大丈夫、ありがとう」
心配そうにする歩美ちゃんに答えると、白鳥刑事からなにかを受け取った佐藤刑事がグシャリとそれを握り潰した
「お兄さん、気分が悪いなら帰った方が」
「ううん、大丈夫」
白鳥刑事が搬送されるのを見送り、俺は近くにしゃがみ込んで気分が良くなるのを待っていた
「もしかしたらじゃありません…。間違いなくそうだと松本管理官に伝えてください!!
3年前の事件で公開された予告ファックスは前半部分だけ…こんなに酷似した文は模倣犯には書けませんから」
「………姉さん」
ここに、姉さんがいてくれたら…
“なに?松田を?”
ー事故に遭う2日前ー
「うん。松田さんのこと忘れたりしないの?」
『………』
「姉さん、佐藤刑事から松田さんのサングラスもらったんでしょ?デスクに入ってた予備のサングラス」
『………』
姉さんの机には松田さんのサングラスが置かれている。普段使っていたサングラス腹爆弾の爆発のおかげで粉々になってしまい、姉さんがもらったのは松田さんの予備のサングラスだった
「忘れたりしないの?」
『……忘れたら、松田が死んでしまうだろ?』
「え?」
『確かに、コレを持っていると前に進めないと思われるかもしれないが…私が忘れたら松田は死んでしまうし、前に進めるかどうかは私次第…
私は二度も、松田を死なせたくない』
(姉さん…!)
「………………」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月25日 10時