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『松田が、死んだ…?』
嘘だ
だって、デートするまで死ねないって
嘘だ
だって、さっきまで電話してたじゃないか
『松田…が…』
嘘だ
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
『そんな、だって…さっきまで電話してっ…松田、一緒にデートするまで死ねないって…さっきまで、そういって』
《佐々木さんっ》
『嘘だ…嘘、いや…いやっ…』
「姉さん!」
『松田…松田っ…あぁっ…あ"っ…いやああ!!』
駆け寄ってきた秀鳴に抱きつきスマホを取り落としてそのまま涙を流し大声で叫ぶ
松田が命を懸けて突き止めた爆弾は無事に解体されて、多くの人を救ったが
私の心は救われなかった
「佐々木!」
「佐々木、松田が」
『降谷…諸伏』
「佐々木…」
『あいつ…私とあの日、デートするって、約束して』
翌日、落ち着かない顔で本庁に向かうとすぐに交通部に降谷と諸伏が入ってきた
2人ともあまり目立ってはいけないのに、こうして私を訪ねてきた
『あいつ、ズルすぎる…言いたいことだけ言って、聞かずに…逝ってしまった』
「佐々木…」
『私は、なにを糧に…生きれば』
何度も止めたのに
嫌だと伝えたのに
松田が死んでから1週間が経った頃、佐藤が私に声をかけてきた
「お忙しい中すみません。どうしても渡したいものがあって」
『構わない。それより、渡したいものって』
「これなんですけど」
オレンジ色の包装紙に黄色のリボンが巻かれたプレゼントがあった
『これは?』
「松田くんのデスクの引き出しにあって…彼に頼まれたんです。とある人に渡してほしいと…でも、誰だかわからなくて…箱についていたメッセージカードに佐々木さんのお名前があったので」
『私…?』
受け取ったプレゼントを眺め、電話で確か言っていたことを思い出した
佐藤に私宛に預けたものがあると…それが、コレ?
「あの、これがなんだかわかりますか?」
『いや…わからない』
「そうですか」
『だが、ありがとう。アイツが言わなければきっとコレはずっと引き出しの中に仕舞われていただろうからな』
受け取ったプレゼントのリボンを解いて包装紙を外すと、そこには一つのチェーンと指輪があった
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月25日 10時