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《れ、連絡するってヒントが出るの3秒前でしょ?》
「…なぁ」
《え?》
「アイツに伝えてくれねえか。俺のデスクの1番下の引き出しに、今日渡すつもりだったのがあるって」
《アイツ…?アイツって、誰よ》
「おっと、もう電池が切れそうだ…じゃあな。頼んだぜ」
電話を切り終えて俺はそのまま静かに時間が来るまで待つことにした
スマホの充電をちゃんと見て、バッテリーがあるのを確認してから電話することにした
《もしもし?松田?》
「よぉ、佐々木」
《どうした?予定の時間はまだ先だぞ?なにかあったのか?》
「いーや、なんでもねぇよ。ただ、声が聞きたくなっただけだ」
《…なんだ、どうかしたのか?今、杯戸町の大観覧車が爆発したとニュースで見ているが、お前まさかそこにいる訳ないだろうな》
「バーカ。てめェとのデートが終わるまで死ぬつもりはねぇよ」
《デートって…お前》
「俺はそのつもりだぜ」
《……》
「言っとくが、本気だ」
もう最後だと思えば、口は勝手にペラペラと動いてくれる
佐々木は、《…私も、デートだと思っているよ》と穏やかな声でそう言った
《だから、ちゃんと時間には来いよ。待ってるからな》
「ハッ、それはこっちのセリフだっつーの。俺が1分でも遅れたら帰れよ」
《遅れてでも行くというわけじゃないのか》
「遅刻するような奴とデートして何が楽しいんだよ」
《誘ってきたのはお前なのにか?随分と身勝手だな》
「フン。…なぁ、佐々木」
《ん?どうした?》
電話から聞こえてくる声がもどかしい
直接聞きたい、機械越しじゃなく、直接
「佐藤にお前当てのモノ預けたから取りに行けよ」
《…お前、遅刻する気満々だな?》
「あぁ、まぁな。ちょっと、めんどくせぇことになったからな」
《なにかあったのか?私もそっちに》
「いや、来るな。絶対に、来るんじゃねぇぞ」
《松田…?》
「来たら殺すからな」
俺のそんな最後、お前に見て欲しくない
なぁ、佐々木
俺はお前に素直に言えたことないけど、最期ぐらい
「佐々木」
《…なんだ?》
「好きだ」
《…え?》
「お前のことが、好きだ…誰よりも、好きだ」
《松…》
「悪い、電池が切れそうなんだ。またな」
《あ、おい!松田!》
そのまま電話を切った
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月25日 10時