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「…あ"ーくそ…」
あんな顔させたいがためにここにきたわけじゃない
させるために来たわけじゃない
「ホント…成長しねェガキ」
階段を降りながら頭をガシガシとかいて帰ろうとすると、「松田さん?」と俺を呼び止める聞き慣れない声が届いた
振り返ると、俺よりもデカくその上あの美男がなお一層に美男になっている男がいた
「秀鳴、か?」
「はい」
「でっかくなったな…今何歳?」
「16。今年で17」
「うっわー…でっか」
俺よりもデカい秀鳴を見上げて、そりゃ佐々木も溺愛するわと思い直す
秀鳴は俺の頬を見て訳を聞いてきた
最近の佐々木のことを秀鳴に話すと、「松田さん、姉さんのこと好きなの?」とど直球で聞いてきやがった
「いや、好きでもねえし嫌いでもねえ」
「…姉さん、多分松田さんのこと好きだと思う」
「はぁ?」
「だって姉さん、好きじゃなきゃ必死に松田さんのこと繋ぎ止めないよね?」
「……………」
んなこと、知るかよ。俺があいつを好きであっても、あいつが俺を好きかどうかなんてわからない
俺をじっと見て否定しないのを確信している秀鳴に観念したように俺は頭をかいた
「あぁ、そうだよ。警察学校の頃から惚れてる」
「ならなんで」
「…………素直になれねえガキなんだよ」
「……」
「まだお前にはわかんねえだろうな」
俺をじっと見て、まるで大人なのに?と問いかけてきそうだった秀鳴に、俺はサングラスを外して真っ直ぐと見た
「大人でも好きな奴の前だとガキなんだよ」
「…………」
「姉さん、大切にしろよ」
「…うん。松田さんも、姉さんのこと泣かさないでよね」
「うっせぇ」
小生意気になりやがった秀鳴の頭を撫でてからそのまま本庁に戻った
「おーおー。色男が台無しだな、松田。どうしたそのほっぺ」
「佐々木にぶん殴られた」
「マジか。んで、なにしたんだよ」
「………喧嘩だ喧嘩」
「どっちが?」
「10割俺が悪い。しかも泣かせた」
「はっ…おまっ!? マジか…」
「なぁ、班長…大人になりてェ」
「大人だろ」
「そういうことじゃねぇんだよ…。あいつの前じゃガキになっちまう…」
「どっちも素直じゃねぇからな」
「うるせぇぞ、班長」
好きだって伝えたら、どんな顔すんのかな…あいつ
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月25日 10時