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「なぁ、理由を教えろ。理由も知らずに無視される上に断られるのは腹が立つ」
俺が真っ直ぐ佐々木の目を見れば、こいつはまたすぐにそらす
警察学校時代、俺の目を見てはっきりと物申してたこいつとはまるで別人のようだ
『お前が、私の言っていることを全て無視するからだ』
「はぁ?」
『特殊班に転属を希望するお前に、私は何度も辞めるように言ったのに…お前は聞かなかったじゃないか』
「お前…たかがそんなことで…」
『たかが?お前にとってはそうかもしれないが、私にとっては重大なことだ
爆発物処理班でいてくれた方がまだマシだった。お前がやりたいと懇願していた爆処理をどうして辞めてまで特殊班に行く?萩原の敵討ちだと言われても私は納得ができない』
「お前には関係のないことで」
『私も萩原と同じ代の卒業生だぞ?関係ないわけがない!!』
「関係ねぇだろ!お前は爆発物処理班じゃねぇだろ!」
『それは今のお前もだろう!』
言い合いが熱を帯びていく
ああ言えばこう言う。言い返し合いが始まって、佐々木は眉を寄せて悲痛な顔になる
『私は萩原のようにお前の頭を冷やさせることも冷静にさせることもできない。それでも、お前には爆処理にいてほしかった!無茶をして欲しくなかった!』
「だから、それはお前が決めることじゃなくて俺が決めることだろうが!」
『だからといって、特殊班に転属希望する意味がないだろう!爆処理でもよかったじゃないか!』
「ハギの敵討ちできねぇだろ、爆処理のままじゃ!!
お前いい加減にしろよ!お前は俺のお袋か!? 恋人でも家族でもなんでもねぇくせに、いちいち俺に突っかかんな!」
『っ…』
(あ…)
しまった。と思ったその瞬間、パァンと頬に鋭い衝撃が走る
『…………私は、お前の家族でも恋人でもなんでもない…それでも、友達だ…友達の身を案じて何が悪い
大事な仲間のことを心配して何が悪い
松田の身を案じて何が悪い』
「佐々木…」
『お前には私の気持ちがわかるもんか!』
「おい、佐々木!! 待てよ!」
階段を登っていく佐々木の手を掴めば、佐々木は涙をうっすらと浮かべて俺を睨む
『そんなに敵討ちがしたいのなら、勝手にすればいい!!
死んでも私は知らないからな!! 私は忠告した!止めた!もう勝手にしろ!!』
手を振り解き、ドアを閉めて家に入っていく佐々木を俺は止めることができずに見送ってしまった
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月25日 10時