元殺し屋はヒーローになる13 (ページ49)

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思い浮かべるだけで悪意が染み込んでくるような、強大すぎたあの敵

私が恐怖し慄きした“フリ”をして利用してきた敵
他人の“個性”を奪い自分のものにもできるだけでなく、奪った“個性”を他人に与えることができる

それに似た“個性”が、“偶然に”なんてあるわけがない

『あーーー、うぜ』

ここまでの一連の流れが頭の中に走馬灯のように一気に流れ込んでくるのを取り払うようにぐしゃりと前髪を掴む

磯貝side

村役場近く、ミイラと化した前原、そして前原を助けようとしてくれたのかわからないが、爆豪までもがミイラとなってしまった

ただ操られているだけの2人に、ヘタな反撃も攻撃もできない

「やめろ、爆豪！前原！」

「完全に操られてる…。どうするよ、磯貝」

「どうするって………言われても！」

困惑して下を向いて前を向いたその時、目の前に包帯が現れ、俺たちの体に巻きついてきた

「しまった！」

「くそ！」

巻き付けられた時に取り落としてしまったナイフと銃

「選べ。このまま拙者の傀儡(くぐつ)となるか……仲間に倒されるか……」

どちらかなんか選べるわけもなく、俺たちが唇を噛み締めたその時、包帯の中から怒り狂った声がした

「ふ・ざ・け・ろ…………！」

「今の声………」

「爆豪!!」

俺が叫んだと同時に、ミイラと化した爆豪の右腕が膨らみ爆発した
爆豪を繋いでいた包帯が焼き切れたのと同時に、爆豪の右腕が前原の包帯を掴み、爆破した

「うわぁ！」

爆風に煽られ、吹き飛ばされた俺たちは受け身を取り、なんとか地面に飛び降りることができた

「なに…!?」

爆風に必死に耐えながら敵が見たのは、炎と煙から生まれたような爆豪の姿
そしてその目に宿るのは、自分をいいように操った敵への憤怒

「お、おい…あの目、軽く2、3人殺してる目だよな？」

「それより前は……………爆豪の小脇に抱えてるの…」

「前原か!? 前原なのか!? E組の中では磯貝と張り合うほどのイケメンが黒焦げになってるぞ!?」