元殺し屋はヒーローになる13 (ページ30)

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夜空に満点の星が浮かぶこの那歩島に、どぎつい叫び声が響き渡る

「なんでクソデクと舐めプ女がついてくんだ!?」

活真から敵のことを聞いた爆豪かっちゃんは、活真を小脇に抱えて片手で“個性”の爆破を使って夜道を進んでいる

その後ろで、緑谷はフルカウルで追いかける

「なんでって………本当に敵がいたら………」

『私は活真の回収～』

心配そうな緑谷にイラつく爆豪かっちゃんは、屈辱でしかないのだろう

「一人で充分だろうが！」

「うわっ」

爆破を強くした爆豪かっちゃんがさらに跳躍し、緑谷が爆風に煽られた一瞬で、バランスを崩し、その隙に爆豪かっちゃんは一気に進んでいった

そのおかげで、活真の帽子が飛ばされる

『ったく…そんなんだから、子供に人気ないんだよ』

舞い上がった帽子をキャッチし、爆豪かっちゃんを追いかける

「おい、敵を見たところはどこだ!?」

「あ、あの城跡の中」

おどおどしながら活真が答えると、爆豪かっちゃんは「それを早く言え！」と言いながら爆速する

急スピードに活真が「お姉ちゃあああん！」と泣きそうな声で叫び、そのまま行ってしまう

『かわいそうだろ…』

活真が指差したのは、海を挟んで島と細い道で繋がっている城山

大昔、城があった場所で遺跡のような城跡が残っている

島側から見ると、前方は長い門で囲まれていて、小高い山の上に残っている城跡はかなり大きく、当時とても立派だったことが窺える

「あそこ！」

活真が指した向こうからカマキリのような巨大な敵が立ち上がってきた

『………？』

こちらに気づいたようにゆっくりと振り返った敵に、爆豪かっちゃんは「隠れてろ」と活真を遺跡の塊に追いやる

いや、アレ

爆豪かっちゃんはすぐさま巨大敵に向かっていき、緑谷もなんとか追いついてきた

「活真くん!!」

「！」

『うっひょーーー……爆豪かっちゃん、すっげェのね』

巨大敵に向かい合った爆豪かっちゃんは、先手必勝とばかりに両手を爆破させ、周囲に閃光を走らせた