元殺し屋はヒーローになる13 (ページ29)

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「グッ」

「！」

「ナイン!?」

苦しそうにうずくまったナインに、スライスたちは慌てて駆け寄る

ナインの全身にヒビが広がっている

「な、なぜだ…なぜ………」

「え、なに、なになに!?」

「ナインが、苦しんでる…？」

応急手当てをするアカロ、ヴァモはナインの変わりように驚き、軽トラックから身を乗り出すように様子を見ている

「ワナタ…」

「チュリャ、急いでバロンに連絡だ」

「わかった」

コソリと指示を出したワナタに頷き、スマホを取り出して静かに連絡を取り始めるチュリャをよそに、ナインは混乱しながら自分の手をサーチし、目を見開いた

「……！B型が不足している………」

(B型…)

苦しそうに言ったナインに、ワナタは眉を寄せた

「……なんと……」

「ここまで来て振り出しかよ、クソが！」

キメラが悔しそうに言葉を吐き出すと、近くでスライスが冷静に言った

「いえ、まだ策はあるわ」

スライスの手には、拾い上げた父親のスマホがあった

「げっ!? マジかよ…」

「ちゃんと回収しろよ!!」

「んなこと言ったって、お前だって頭から抜けてただろ!?」

スマホの回収を怠った2人は、こそこそとそんなことを言いながら見守る

《お父さん、お仕事頑張って》

《こっちのことは心配しなくていいよ》

画面に再生されたのは、父親へエールを送っている活真と真幌

2人を確認したナインの目が希望を見たように細まった

「…………そうだった………“個性”は、遺伝する」

「そうだな。“個性”は遺伝する
だが………必ずしもその子がお前の望む“個性”の持ち主ではないかも知れないぞ？」

「…………………ヴィランズランド」

「脱走の手助けをしてくれたあなたたちが、なぜ次は邪魔をするの？」

スライスの言葉にワナタは「そうだな…」と、かぶっていたハットをかぶり直すと「キャットからの命令でな」と、鋭く睨んだ

「……手助けをしてくれたキャットが、か？」

「キャットは敵には付かない…ヒーローにつくんだ」