元殺し屋はヒーローになる13 (ページ27)

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「結局、ロゼリアが放っておけと言ったアイツ…どこ行ったんだろうな」

「西日本の四つのポイントにいるヒーローの“個性”を奪っているらしいけどね」

「………けど、これ以上奪われんの流石にやばくね？」

都市部の歩道に野球帽を目深く被り、信号待ちをしているのは、先日の敵連合の配送を邪魔したヴィランズランドだ

一般人として溶け込み、こうして毎晩夜の街を歩き回っているのである

「これ以上は好きにはさせておけないからね
ロゼリアに伝えておいた通り、僕らでもできることはするからね
いいかい？アカロ、ヴァモ」

「はい、寮長」

「はーい」

青になった信号に歩き出すと、彼らの目の前から獣のような何かが急に突っ込んできた

赤信号で止まっていた軽トラックに体当たりし、跳ね上がった軽トラックを掴み、軽々と地面に叩きつけている

「寮長!!」

「アカロ、運転手を救出!! ヴァモはパトリンたちに連絡!!」

「はい！」

反動で車から男が投げ出され、衝撃と痛みに呻いている

「おい、大丈夫か!?」

アカロが近づくと、男は顔を上げて「キミは…？」と言葉を発した

「俺はアカロ。大丈夫、救急車呼んだからもう安心してくれ」

「アカロ!!!」

「！」

チュリャに呼ばれたアカロは、後ろにいる男を振り返る

「ようやく、見つけた…」

(ナイン……!?)

驚いたアカロは男を抱き上げ距離を取ろうとした時、首を掴まれて投げ飛ばされ軽トラックに突っ込んだ

「アカロ!!」

「ヴァモ、アカロを頼んだよ!!」

「はい！」

アカロを投げた男、ナインは憂いを帯びた静かな目の奥に底知れない冷たさを滲ませ、「安心しろ、殺しはしない。だが」と男の頭を掴む

「“個性”をもらう」

ナインの目が緑色に変わり、得体の知れないエネルギーが男へと吹き付けられる

「しまった……!!」

「アカロ、大丈夫か!?」

「ゲホッ！めちゃくちゃ背中痛ェ…」

一般人の誘導、アカロの救出に遅れをとった2人は振り返り、その光景を目の当たりにして目を見開いていた