元殺し屋はヒーローになる13 (ページ26)

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『んじゃ、風呂入って寝よう。爆豪かっちゃんも帰ってきたわけだし』

「あ、うん」

「てめェはなにしとったんだよ」

『兄貴に連絡。連絡入れないとうるさいから
主に…ライジングが』

「………………」

少しでも連絡が遅れると泣き喚くので、尚哉兄さんにはほとほと困る

事務所の中に入ろうと一歩踏み出した時、ザッと誰かの足音が聞こえ振り返ると、昼間の迷子…活真がいた

「キミは、昼間の………」

「ヴィ、敵が…………」

『活真、ゆっくり言ってごらん？』

おどおどしていた活真に目を合わせて言うと、意を決したように「出たんだ」と、言う

「敵が……!?」

「詳しく聞かせろ！」

NOside

大都市の夜は明るく、星は地上にしかない

その一角にヒーロー公安委員会本部のビルがある

その中の委員長室では、公安委員長と公安幹部、そしてホークスと鼻歌を歌う人間がいた

映し出されている西日本の地図をホークス、委員長、幹部は見ため、地図上には点々と四つのポイントが示してあり、4人のヒーローの写真が貼りこんである

「先週から継続的に発生しているヒーロー暴行事件…
被害者は全員意識不明……しかも“個性”を消失
死柄木一派は、指定敵団体が密造した「“個性”を消す針」を入手している」

「彼らが針の量産に成功したと言う情報は？」

「いいえ、聞いていません」

「こっちも同じだよ」

ホークスと男が答えると、「なら調べろ。奴らの内偵を続けて……」と幹部の言葉にクスリと笑った男は「“個性”が奪われた、とは言えないのかい？」と、折り鶴を作りながら言った

「……なに？」

「被害者はヒーローだから、失った“個性”は当然使えるものばっかり
もし容疑者があのオール・フォー・ワンと同じ「“個性”を奪う“個性”」を持っているとしたら…？
喪失ではなく強奪だとしたら、あのカミノで起きたことがまた繰り返されるかもね」

「……そんなことが……」

「ま、どちらにしろ死柄木がらみです
両方の線で追ってみますよ」

「さぁて、今度は誰が血に染まるのかな？」

作り出された折り鶴は、真っ白な紙からドロリとした血に染まり始めていた