元殺し屋はヒーローになる11 (ページ40)

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「命がけで逃げた先はヤクザの若頭
どこへ逃げても敵に飲まれる一方だったんだよ」

「………………どうやって」

「…自力で逃げたからあいつはここにいるんだろうが
ヒーローに絶望し、世の中に絶望し、全てに絶望してもなお、あいつはヒーローになろうとした
わかるか？あいつ自身、自分の体験から、自分と同じ目にあった奴を救わんと立ち上がったんだよ

てめェ、いつか先導者になるんならあいつからたくさん学べ
あいつはヒーローに1番近いんだよ。オールマイトを超える力を持ってる」

いや、オールマイトの歴史を覆すかもしれねぇ

「あなたは、あの人を…尊敬しているのですか」

「してねぇわ。あんな奴に尊敬するんなら、ヒーロー死んだ方がマシだ
だが、人を導く才能は、誰よりもずば抜けてやがる
人に教える才能、人を鼓舞する才能、人を蹴落とすこと、人を使う才能、人の才能を最大限に引き出す才能

あの夜神月は、俺が見た中で1番強ェ奴だよ
てめェもちゃんと謝っとけ。あいつがあんだけベラベラ御託並べたのは、間違えねェように教えてやってんだよ

てめェの親も、てめェに関わってきた大人も、あいつが庇ってやらねぇといけねぇんだよ
てめェがそれを否定したら、誰がそいつらの思いを受け止めるんだ
てめェは親の気持ちも大人の気持ちも、全部踏みにじったんだ

あいつは、それを分かった上で、お前を挑発したんだよ
わかったら、泣きやめクソガキ」

ハゲのところにクソガキを連れて行き、舐めプ女の方を見た

「すごーーーー！」

「姉ちゃんの“個性”、バカ強ェ!!」

「ゴチンコとバクダンよりすげぇ!!!」

「あァ!!?」

クソガキどもがはしゃいでるのを見つめて、一息ついた舐めプ女に「もういいんか」と聞けば、『何、心配してんの？』と横目で見てきやがった

「んなんじゃねぇわっ!!」

『…もう大丈夫って言えたらいいのにな』

「あ？」

『…一つの山を乗り越えたってところかな…。大丈夫、まだカードはある』

こいつは一体、何を考えて何を思っているのか…

俺には死ぬまで理解できるはずのない顔つきだった

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「何のために強くあるのか。エンデヴァー、答えはきっととてもシンプルだ」