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俺と平野が頬をほんのりだけ赤らめて飲み物を口にしながら話を聞いていた
どうやら、和葉ちゃんの幼馴染の服部くんの初恋についてのお話らしい
「“小学校3年の時に会うたちょっと年上の女の子”って答えてんの!しかも、“その女の子にまつわる大切な品や”言うて、わざわざこんな写真まで撮らしてんねんで!」
切り抜きの一枚目をめくると、2枚目の記事の間に小さな足を指で摘んでいる服部という子が写っていた
「なんなの、これ?」
「ただの水晶玉…その女にもろたんとちゃう」
「じゃあ、和葉ちゃんはその子のこと」
「知ってるわけないやん!平次も会うたんはその時だけみたいで、京都は来るたんびに捜してるみたいやから」
「あっ、それで水晶玉を写真に…!もしかしたら、その女の子がこの記事を読んで連絡してくるかもしれないと思って…」
「なっ、やらしいやろ!」
「うんうん」
「やらしいって…」
平野がコーヒーから口を離して頬杖をついて記事を眺めながらぼやくと「おまけに、その頃の写真まで載せてるんやで!」と2枚目の切り抜きをめくると、そこには剣道着姿の服部くんが写っていた
「わっ、かわいい!!」
「そやろ!この頃の平次メッチャかわ…蘭ちゃん、そういう問題とちゃうんやけど」
「でも、気にすることないんじゃない?たとえ服部くんに初恋の人がいても、それはもう昔の人。今は和葉ちゃんといい感じに見えるよ」
「でもねぇ、男にとってファーストラブは特別だから」
「園子!」
「ははは…」
「もぉ!こんな辛気臭い話はやーめた!それより、ぜんざい食べへん?オバちゃーん!ぜんざい5つ!大急ぎで頼むねー!」
そう店員に頼んだ和葉ちゃんは「それより、蘭ちゃん」と俺たちを見ながら和葉ちゃんが蘭ちゃんに声をかけた
「この人たち、誰なん?」
「姫乃のお兄さんの大河さんとその同級生の佐々木さんだよ」
「初めまして」
「佐々木です」
「姫乃ちゃんにお兄さんおったん!? メッチャ似てる…」
「髪の毛は脱色してるからな…」
「髪以外はそっくりや…」
「ね」
平野と姫乃ちゃんのそっくりさといえば驚くぐらいだ。去年の夏ぐらいまで全然気づかなかった俺も俺だけど
「姫乃ちゃんの彼氏さんが佐々木さんなん?」
「(ブッ」
「…え?」
平野がコーヒーを吹き、俺はポロリと言葉を漏らした
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年4月9日 15時