全員の安定剤 ページ9
「誰がキス魔君だァ？」
「貴方に言ったのよギアッチョ」
そう言うと無理やり口に舌をねじ込んでくるギアッチョ
「んはっ…好きだA…」
「ギアっ…ゃ…」
どんどんキスが激しくなるとAがギアッチョの胸板を叩く
「…はっ…何で俺じゃねェんだよっ、」
「そもそも彼氏なんて作らないの､ほらみんなの所戻って」
ギアッチョは手で口を拭くと舌打ちし､戻って行った
「コーヒー入れたけど飲む？」
「くれ」
「俺も」
落ち着いた表情でリゾットが口を開く
「コーヒーよりもだ､ソルベとジェラートが」
「揃ってサボりかァ〜？」ギアッチョが逆立つ
「どこかにしけこんでんじゃあねぇ〜か？アイツらデキてんだろぉ〜？」イルーゾォも囃し立てる
「いや､確かに妙だ。ジェラートはともかくソルベは金にがめつい､分け前の話の時に今まで来なかったことはなかった」
「「?!」」
「でも､今日はいなかっただけかもしれないわ」Aが冷や汗をかく
「とりあえず探してみるしか…ねぇな」
「それで分け前の事だが……〜〜」
「お前はいつからそんなに病んでたんだ？」
「失礼ね､ただの睡眠剤よ」
夜中､全員が部屋に戻った後､ソファに1人Aが座っているのを見かけたプロシュート
「ここ､座れよ」プロシュートが膝をトン､と叩く
「ちょっと､私寝る前なんだよ？」
「いいから座れって…！」
「うわっ…！！」
プロシュートの力で強引に膝に座らされたA
「へっホントに成長したんだな」
プロシュートの指が腰のラインをなぞる
「何よ」
「生意気になったなお前も」
そう言うと私の頭を自分の胸板に当て､背中を腕で包み込む
プロシュートにハグされるのは嫌いじゃない。安心するし､どこか優しさがある
それでも､私の寂しさが埋まることはなかった
「なんでギアッチョの匂いがするんだ？」
肩に顔をうずめるプロシュートが聞く
「嫉妬深い男って嫌いよ」
「どうせアイツがまたマーキングしたんだろ､クソッ」
突然､頬を掴まれる､そして───
「…はっ､してることは…同じじゃない」
「上書きな､ガキはとっとと寝ろ」
そう言い残すとプロシュートは自分の部屋に戻って行った
「…あんただってガキで発散してるじゃん」
私はそのまま夢の中に落ちた
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作者名：遊子 | 作成日時：2022年7月19日 0時
