九話 ページ10
「堤さん遅いですよ! もう入場始まっちゃいます」
『すいません』
「もう、さっきブラックジャッカルの木兎選手面白かったんですよ?」
木兎選手、木兎光太郎、私の先輩、憧れた人。
もう何度聞いたか分からないその名前に、何度思いを馳せたことか。黒鷲旗の時にはわざわざ会いにいかなかった。
私のアドラーズ所属が決定して初めて彼を生で見る。
彼は何も変わっていなかった。あのハツラツとした笑顔も、髪型も、声も、何ら変わっていなかった。
強いて変わっているところを探すなら、少しガタイが良くなって、前にも増してパワーが強まったといったところだろうか。
変わらない彼の姿に顔が綻ぶ。
『…高校時代からそうでしたよ』
「そういえば木兎選手と同じ高校出身でしたね。5年前の春高は確か___でしたっけ?」
『はい、一番楽しかったです』
「そうなんですね〜。私も見てましたよ、新山女子との決勝!!
あ! 入場始まりました。ふふ、相変わらず牛島選手と影山選手は慣れないなぁ」
子供たちと手を繋いで入場する彼らは可愛らしかった。聖臣くん大丈夫かなぁ。子供相手に暴言を吐いていなければいいのだが、容易に想像出来てしまうのが悔しい限りだ。
そうだ、幼なじみである佐久早聖臣との今の関係を語ろうか。
聖臣くんとは高校時代よりも距離が近くなったような気がする。それは私から見た彼との距離に過ぎなくて、聖臣くんがどう思ってるかなんて、私には到底理解の出来ない話だけれど。
まぁ仲が良くなった、ということを前提で話を進めよう。
一応私たち2人の通っていた高校は強豪校と言われるくらいの素晴らしい選手が揃っていて、Vリーグという道に進む友達も少なくはなかった。
実際、私の代のスタメンの選手は私以外Vリーグに進んだし。今活躍しているかは置いておいて。
そんな中、大学に進んだ私たち2人の交流は少なくなかった。私は宮城の大学に進んだのにも関わらず。主に大学での大会だ。顔を合わせることは寧ろ増えたのではないかと思うほど、彼とはよく話した。
まぁ一番の理由は、私が高校時代に比べて幾分かまともになったからだろうけれど。
人は成長するものである。
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堤Aの夢が山の頂上にあるとして、彼女は国見英というボロボロの命綱を腰に結んで登っていく。
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きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に見てしまいました!更新頑張ってほしいです応援しています^_^ (2022年1月8日 6時) (レス) @page21 id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 1話1話の内容が読み応え(濃くて)があって、読んでいると時間を忘れる作品でした!、、、更新はもうなされないんですか? (2021年9月18日 10時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - はとむぎ。さん» レス遅くなくってごめんなさい! とっても嬉しいです! 大人編は中々ごちゃごちゃさせてしまったので難しいんですよね笑 頑張って更新します! (2021年7月11日 8時) (レス) id: 0de810db1e (このIDを非表示/違反報告)
はとむぎ。(プロフ) - ぁぁぁぁぁぁ!!面白いです!!前に1度この作品を拝見させていただいたんですけど、ふと思い出してもう1度読みに来ましたぁ!堤ちゃんをみてると今の時間楽しまなきゃなと思いました。文才がぶっ飛んでいてすごいです!!更新待ってます!無理のない範囲で頑張って! (2021年5月5日 11時) (レス) id: f737b4b4c2 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - りんさん» やっと落ち着いて書いちゃいました〜。確かに心の支えはその二人ですかね! まぁ彼女は色んな人に支えられて生きてるんでしょうけども。これからも頑張ります! 励みになるコメントありがとうございました! (2021年1月31日 11時) (レス) id: 0de810db1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2020年5月14日 3時