【HQ】高校バレー界の問題児とは 5

五話 ページ5

『あそこなら…私を受け入れてくれるのに』



ここは居心地が悪い。バレーボールが楽しくない。まるで中学時代に戻ったような、そんな感覚。

影山くんには日向くんがいて、及川さんにはその相棒がいて、赤葦さんには木兎さんがいる。


じゃあ私は？


もうこの国に及川さんはいないし、大塚さんがいつも私を引きずり回してくれるワケじゃない。みゆきちゃんだって頑張ってる。夜久先輩も私の傍にはいない。

結局私の本質は変わらない。きっとこの先も、こういう事をずっとずっと繰り返す。いっそ、アルゼンチンにでも旅立ってしまおうか。いや、木兎さんとの約束を果たすまで、離れるわけにはいかない。


鮮やかな記憶が私を呑み込む。



＿＿＿堤っ！ 焼肉行こーぜ！！
＿＿＿堤、これ中学生の問題なんだけど…。
＿＿＿んだとコラ堤てめぇ！！
＿＿＿堤のバカさ測ろうとしたら測定不能になった。
＿＿＿堤を超えるバカはいないね。
＿＿＿堤、惜しかったな。
＿＿＿堤！先生が呼んでるぜ。
＿＿＿堤もまだまだだね〜。
＿＿＿つーつーみぃ、アンタ今日当番でしよ！！
＿＿＿Aちゃん！やめてってば！！


＿＿＿アンタなら、どこでだって大丈夫だから。



そんなの嘘だよ、大塚さん。
私はその言葉を信じていたのに、神様は平気で私の道を塞いでいく。だから私は大人になんてなりたくなかったんだ。大人は生きにくい。鮮やかに見えた世界も、今は真っ黒。


目の前の彼は、私の希望になってくれるのだろうか。
私にかかった黒いフィルターを、外してくれるのだろうか。


｢いいよ、俺を不幸にしたって。
俺も人を不幸にしたことがあるから、おあいこ｣

『私はキミに不幸にされたわけじゃない』

｢俺が嫌なんだ。もう何年も経ってるのに、あの記憶が俺を離さない｣



誰かも分からない彼は変わり者だと思う。これまで数々の曲者に会ってきたが、こういう人間は初めてだ。

人を不幸にした、か。






『そっか、なら私の傍にいてよ。
キミが後悔するまで、私がキミを不幸にする』












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最近この作品と似たような作品を見つけてビビってます。どうしよう、堤ちゃんより凄い女の子が現れたら…うぅ、そっちの方が面白いからってこの作品の事は嫌いにならないでくださいね！！(泣)

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