【HQ】高校バレー界の問題児とは 5

十九話 ページ21

一旦整理回
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堤Aは、誰よりも梟谷バレー部を愛していたことで有名である。それはチームメイトも、対戦相手も、ファンたちも認識していたことである。

彼女自身がそれについて知っていたかどうかは定かではないが。


彼女は卒業後、インカレ一位の大学に進んだ。しかし、待っていたのは華やかで強いバレーボールではなかった。


いじめ


まるで中学生のような、低俗なものだった。


全ての才能を持った少女。明るくて、突飛で、愛らしくて、それでいて、自分の全てをイラつかせる。だから彼女たちには、堤Aを潰すことしか頭になかった。


そんな彼女が頼ったのが同じ学年の国見英。彼もバレー部で、隣のコートで練習していた彼らと毎日のように顔を合わせていたから、彼女たちのいじめについては国見も知っていた。


国見はAも過去の影山と重ねた。ずっとその罪悪感を感じていた国見は、Aに手を差し伸べることで少しでもこの罪悪感が軽くなればいいと思った。

要は、彼女を利用した。

でも国見は、



＿＿＿＿＿＿英くん



惚れてしまった。弱みを握られた。
どうしようもなく、彼女に恋をしてしまった。

そんな彼女も彼を利用した。彼女たちの標的が国見に向くように仕向けた。日を重ねるごとにAの体から痣が消え、それが伝染るように国見の体には痣が増えていった。

どっちもどっちな話だ。でもAは主格犯の四年生たちが卒業してストレスから解放されたとき、それに大きな罪悪感を抱いた。


｢恋人にならない？｣

『.........うん、なろ』


だから彼の要求を全て受けいれた。恋人になること、同棲すること。
一緒にいるうちにAが国見に愛着が湧いているのは確かだが、それは本人たちは気づいていない。


まぁそうして大学三年の時点でAのアドラーズ内定が決まり、影山たちと再開。
国見の親友である金田一とも知り合い、新しい友好関係を少しずつ築いていったのだ。


充実はしていた。けれど.......



｢Aが俺を好きになったら、きっとAは”大丈夫”になるから。
Aは二度と取り戻せない高校時代のことばかり考えて、壊れる。だから幸せになれない。だから俺はAを惚れさせてAを幸せにする｣

｢異常な高校時代への想いは、Aにとって重すぎる重りなんだよ｣






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