【HQ】高校バレー界の問題児とは 2

三十一話 ページ32

自主練時間

そこには前回と同じメンバーが揃って練習をしている。何ら変わりない。



『ツッキーツッキー♪』

月島｢チョット、歌わないで。｣

『ふふふ、そんな顔しないの。
で、何見てるの。黒尾さんのブロック？』

月島｢まぁ、宮城にはウシワカいるからね。黒尾さんのブロックは参考になる。｣

『もしかして牛島さん勝とうとしてんの？ツッキーも男になったなぁ！！』

月島｢バカなの？僕が勝てるワケないデショ｣



隣で三角座りをする月島を見るためにAは顔を上げる。興味深そうにその目を見つめた。

言葉は前と変わらないけれど、表情が違って見えた。本当に、男らしく見えた。


月島｢まぁでも、何本か止めてやろうとは思ってる。｣

『！！』

黒尾｢おいツッキー！いつまで見る専やってる！？｣


じゃあ行くね、と月島はドリンクとタオルを置いてコートに入っていく。
一方Aは唖然としている。そして嬉しそうに口角を上げた。

本当にあの合宿以降変わったと思う。
彼に何があったのかなんて知らないけれど、彼の秘密も、好きな食べ物も、小耳に挟んだお兄ちゃんのことも知らないし、一緒にいた時間も短いけれど。

嬉しい。

耳が赤くなった月島を見て、Aは思う。

涙、までとはいかないけれど、本当に感動している。言葉ひとつで人はこんなにも変わるのか。



いや、私もそうだったじゃないか。


＿＿＿バレーは6人で強い方が強い。

＿＿＿君も、チームメイトは大切にしないとね。


脳裏に過ぎる。やばい、冗談抜きで泣きそう。

涙が出そうになって、慌てて上を向く。勘弁してくれ自分の涙腺。この人たちの前で泣くなんて、死んだ方がマシだろ。



黒尾｢イカレ女ァ、お前もサボってんじゃねぇぞ！！｣


涙を堪えるために歯を食いしばる。
タオルで拭いて勢いよく顔を上げる。


『ウィッス！！』

木兎｢なんだぁ堤！！泣いてんの！？｣

赤葦｢木兎さん黙っててあげてください。堤も一応女ですから、そういう日があるんです。｣

黒尾｢あらそうなの堤サァン？それなら休んでても良いのよ？顔色悪そうだし、もしお腹痛いなら…ゴッ｣

『違いますよ。ほんと、これ以上馬鹿にしたらアンタらのあの気色悪い写真拡散しますから。』

黒尾｢気色悪いって言った！！お前が撮ろうっつってきたのに！！｣

『あんなの可愛いわけないんですよ。なんで売れたのか不思議なくらい。この合宿に参加してる人はほもが多いようですね。』

赤葦｢………。｣

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