【HQ】高校バレー界の問題児とは

七話 ページ8

Aは女子とは思えないくらい、高く、高く跳んだ。それには影山もやはり驚くようで、少しだけ目を見開いた。

大きくそった背は全身の力をボールに伝えた。

渾身のスパイクは男子用のネットにも関わらずコートの中央に突き刺さる。


『やっぱりネットが高いや。打つときビビっちゃうもん。』

『影山くん、ナイストス』


Aは影山に向かってはにかむ。

影山はそのAを見て目を丸くした。
日向に見えたからだった。彼もまた、自分にナイストスと言ってくれる。彼らは蘇る中学時代の記憶を、少しずつ塗りつぶしていく。

それがどうしようもなく、嬉しかったのだ。
影山にとって。


影山｢よし、後50本！！｣

『ごじゅうぅ？
無理に決まってんだろ！！』


むりむりむり、とAは顔を歪め、ボールを影山の胸に投げつける。
影山は動じずにそれをキャッチし、またもやそのボールを彼女に投げようとした。


｢影山、ちょっとくらい気ぃ使ってやれ。相手は女の子なんだからな。｣


そこに、泣きぼくろが特徴的な少年が後ろから声をかける。

そう、言わずもがな烏野高校副主将、菅原孝支である。


影山｢菅原さん、でもこいつ、日向と同じくらい動けるんです。｣

菅原｢え、それはすごいな。てかこの子問題児の子じゃね。影山すごい子と練習してんのな！！｣



うちの影山をよろしくな、なんて爽やかに笑うものだから、Aも苦笑いを浮かべウィッスと敬礼をした

心中のAは既に涙目であり、これから影山のような妖怪のような男と練習するのは少し心にくるものがあった。


『(い、いやだ。例え50本打ったってコイツだったら後10本だとか後5本だとか行ってくるに違いない。
そうやってダラダラしてたら、食堂しまっててご飯お預けで、今回キャプテンに内緒でこっそり持ってきたカップラーメン食べようとしたら監督に見つかって怒られて、監督がキャプテンにチクってまた怒られるかもしれない……)』


何としてもそれは阻止せねば、とAは影山の隙を伺う。

そう言えば、彼の相棒とやらはどこにいるのだろうか

そいつに全部丸投げすれば…



『あ、あのさ！影山くんの相棒紹介してよ。影山くんが言うに私と似てるんでしょ？
だからちょっと会ってみたいかも。』

影山｢日向のことか？アイツは今どっかで練習してるだろうけど…探してくる。｣


Aは隠さずによっしゃぁとガッツポーズを決める









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