四十話 ページ41
『……大塚さんの腹パンくらい痛い。』
黒尾「えっ、大塚の腹パンやばくね?」
痛さに悶えるAの前にドヤ顔で仁王立ちしているのは木兎だ。
今回の勝負の結果、Aは惨敗した。
本数は50本。触りはしたものの、ほとんどは吹っ飛ばされてギャラリーまでボールがとんでいった。指先まで力を入れていたにも関わらず、簡単に崩されてしまった。
まず戦う土俵が違うし、分かりきっていた結果なのだが。元々彼女はジャンプ力よりもレシーブ力が売りの選手だ。ネット際では若干彼らに劣る。
黒尾「ブロック下手だな、お前。」
『…だから練習してんすよ。ニワトリはニワトリらしく田舎民の目覚ましにでもなってろ。』
黒尾「コイツブロックに置いても練習になんねぇな…
___あ!チョットそこの!烏野の!メガネの!」
失礼なと思いながらもそれは事実だとAは認める。それから黒尾の視線の先をゆっくりと追った。
月島蛍、烏野のミドルブロッカー。
休憩中によく練習試合を覗くけれど、彼にはこれといった印象は特にない。強いて言うなら、賢く冷静に、カッコ悪くないプレーをする、みたいな。
まぁやる気が見られないということだ。Aはあまりそういう人間が好きではない。
黒尾「ちょっとブロック跳んでくんない?」
ニコニコと眼鏡を見つめる2人。
やってらんねぇぜ、すぐ浮気するのね。あの眼鏡め、泥棒猫っ。
それを横目にタオルでガジガジと汗を拭く。
自分で思っていたよりも大量の汗が噴きだしていたみたいで、タオルがすぐびちょ濡れになってしまった。
月島「なんで僕なんですか。梟谷の人は___」
赤葦「木兎さんのスパイク練、際限ないから皆早々に逃げるんだよ。」
黒尾「俺はコイツ鍛えるのに忙しいんだよね。」
灰羽「だからっ、俺がブロック跳びますってば!」
『アンタはその前にレシーブでしょ。』
転がるリエーフを冷めた目で見つめた。
リエーフは不服そうだ。眉間にシワがよっている。
一方Aも機嫌が悪そうだ。黒尾に使えない宣言をされたからだろうか。三角座りをして俯いている。
黒尾「ほら、堤チャン?機嫌直して?俺が悪かったからさぁ。」
『黒尾さんの浮気者、大っ嫌い。私次はクワガタ捕まえてくるから。』
木兎「クワガタなら第2体育館だぞ!!」
『おぉ、よく知ってますね。やっぱり私には木兎さんしかいないや。では。』
黒尾「立ち直るのはやっ!!てかアイツ、マジでクワガタ捕りに行きやがった!!」
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nonn - オチは、木兎さんだと思っていたので以外でした。木兎さんバージョンのオチも見たいと思いました。とても面白かったです。 (2022年2月9日 12時) (レス) @page33 id: cfc7f8846a (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - 奏音さん» 夜久さんのメイド服は世界を救います(真顔)面白いと言って貰えて嬉しいです!これからも恐らくダラダラと長く続く予定なので、付き合っていただけたらと思います! (2020年5月15日 9時) (レス) id: 0de810db1e (このIDを非表示/違反報告)
奏音 - 私まだ1しか読んでないのですが、もう、面白い以外の言葉が見つかりません!wなんか堤ちゃんの性格が面白くて好きですwwwあと、流石にやっくんのメイド服はヤバいです…!グヘヘヘ←(((キモ これからも頑張ってください!応援してまーす!! (2020年5月8日 23時) (レス) id: ea3d173ac1 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - 土の影さん» 土の影様が読んでくださっていたことに感激です!これからも面白いと思ってもらえる作品目指して頑張ります。コメントありがとうございます!! (2020年4月9日 11時) (レス) id: 0de810db1e (このIDを非表示/違反報告)
土の影(プロフ) - 続編出てる中こちらへのコメント失礼します!読んでいて楽しすぎて、すぐコメントしなくては…!と思いまして。本当に面白いです、これからも応援してます!更新頑張ってください!(^^) (2020年4月9日 10時) (レス) id: 71404c1896 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2020年3月21日 23時