“元”杉沢第三高校一年担任教諭は災厄を食い止めたい。（5）【呪術廻戦】

135.急いで ページ7

「とにかく、私達もすぐ向かいます。違和感を感じたらすぐ逃げてください」


忠告して電話を切った伊地知さんは、長いため息をつき深く俯いた。


『伊地知さん、顔色が悪いですよ。早い所虎杖くんを迎えに行った方が良さそうですね』

「その通りですAさん……ちゃらんぽらんな五条さんならまだしも、大人オブ大人の七海さんに叱られたら……！！」

(私は多分、泣く！！)


かなり切迫詰まった表情と声。これはちょっと………いや中々宜しくない展開だな。

確かに七海さんからの叱責はあまり想像したくない。

思慮深くて理屈が通ってるから言葉に色々と説得力がある分、怒られた場合それだけ心に突き刺さりそうだ。


『成る程……。どうにせよ、急いだ方が良いのは間違いなさそうです』

「はい、この歳で人前で泣きたくはありませんから…！！」


双方の意見が合致した。

シートベルトを着け、ギアを引き、ハンドルを握り締め、アクセルを踏み込み車を出そうとした丁度その時。

ダッシュボードに置かれていた伊地知さんのスマホがバイブ音を立てた。

画面には「七海 建人」という人物からの着信が表示されている。

それを見た伊地知さんはこの世の終わりのような顔だ。


「ああああ予定より早い連絡………！！ハイ叱られる！！」

『伊地知さん、ちょっと落ち着いて。まずはアクセルペダルから足を離してギアをパーキングに』


タイミングが良いのか悪いのか車の急発進は免れたが、あちらの急発信はなお続いている。あ、シャレじゃないです。

しかしスルーなんてすれば事態は悪化して逆効果なのは明白だ。

諦めたように伊地知さんは電話に出た。


「はい、ごめんなさい」

〈ん？〉


開口一番に謝罪。七海さんもどういうわけか分かっていないようだ。

136.ツギハギ→←134.打ち解け

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す