154.脱出 ページ26
『吉野くん、此処に居ては危険です。脱出に向かいましょう』
とにかく、今帳から逃がせる生徒は呪力を持っている吉野くんだけだ。
ショックで脱力している吉野くんの肩を支え、二人の戦場と化した校内グラウンドと逆方向の出口へと足早に向かう。
校舎が派手に破壊される中、なんとか裏門にたどり着き、私は帳の近くで待機している伊地知さんに電話をかけた。
『伊地知さん、急ですが吉野順平をそちらに向かわせるので身柄の一時保護をお願いします。……大丈夫、今の彼は無害ですからその事はご心配無く』
口早に伝えて電話を切り、手筈を繕って頂いた。苦労を強いるのは心が痛んだが。
裏門は長いこと使われていないのか鎖と南京錠が巻き付けられていたが、武力行使で解錠してこじ開ける。錆びついた音が耳に障った。
『さぁ、ここを抜ければ結界の外です』
私は吉野くんの肩から腕を離す。
おぼつかない足腰の彼を支えるように、軽く背中に手を置いた。
『吉野くん。貴方があの呪霊とどういう関係かは、後で詳しく伺う事になると思います。……それとさっきの事ですが、一つ言わせて下さい。好きに捉えてもらって構いませんから』
吉野君にも、ツギハギの………真人にも言えることだが、彼らの願いや考えは、彼らにしか完全には理解できない。
それでも、私がただ一つ間違いないと断言出来る事。
『その対象が善人だろうと悪人だろうと、へらへら笑って人を殺すような奴は、押し並べて良い人ではありませんよ』
私は覚悟と誇りを持って、敵を呪い祓ってきた人達をよく知ってるから。
だけど、アイツは違う。
それらのうちの、ひとかけらだって持ち合わせちゃいない。
アイツはただの“呪い”。本質は邪悪そのものだ。
1092人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
“元”杉沢第三高校一年担任教諭は誠意を尽くしたい。(4)【呪術廻戦】
“元”杉沢第三高校一年担任教諭は幸せを噛み締めたい。(6)【呪術廻戦】
もっと見る
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そす(プロフ) - もんもんさん» 喜んで頂けて何よりです! 久しぶりにコメント頂いてめちゃ嬉しいです!! (2021年8月27日 15時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
もんもん - 順平くん高専にはいるんですか?!ほんとありがとうございます。ほんとハッピーって感じです。ほんと嬉しいです。 (2021年8月27日 15時) (レス) id: d0f192cd35 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - おにぎりさん» コメントありがとうございます!! 余談最後の方まで見ていただけてめちゃ幸せです! 新しいコメント見た瞬間「やったぁ!」って声出ました! 元ネタをご存知の方がいらっしゃって嬉しいです! リアルも更新も頑張りますね! (2021年6月18日 20時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - 全力少年の奴と言われて久々に思い出して笑ってしまいました。本当に初投稿作品なのか疑ってしまうほど文章が綺麗に纏まっていて読んでいて楽しいです!最近暑くなってきているのでご自愛ください! (2021年6月18日 19時) (レス) id: 694d1d013e (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - 鮭さん» コメントありがとうございます!! 大絶賛に作者のたうちまわってます! 色々忙しいですが更新頑張りますね!! (2021年6月13日 19時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そす | 作成日時:2021年5月22日 13時