142.デジャヴ ページ14
タイヤ痕が残りそうな程の急ブレーキで車を停車させ、急いでドアを開ける。
再び吉野くんの家の前に降り立った瞬間、私の喉がヒュッと音を立てた。
(……マジかよ、冗談でしょ…!?)
心臓がばくばくと喧しい音を立て、無意識的に瞠目する。
数時間前、初めて訪れた時とは比べ物にならない
この嫌な感じ……特級呪物、両面宿儺の指の封印が解かれた校舎の禍々しさと完全に一致している。
まさか、まさかだ。
歪な気配が隙間から立ち込める玄関のノブに手をかけると、幸い鍵は掛かっていなかったので中に入る事が出来た。
靴を脱ぐ手間すら惜しく、扉を破壊せんばかりの勢いで開けて土足で中に押し入る。
『─────っ!!』
其処には、つい先刻までの和やかな空気など何処にも存在していなかった。
視界に飛び込んできたものは、無数の手と乳房が生えた悍ましい呪霊、今にもその呪霊の体内に取り込まれそうな吉野凪さん、床に飛び散った大量の血。
そして、皆で片付けたテーブルの上に不可解に置かれていた、両面宿儺の指。
気を失っている吉野さんの顔色は、今にも息絶えそうな程青白い。
(この、離れろ……ッ!!)
考えるより先に身体が動いた。
バッグから武器を取り出しては投げ、呪霊の胴体に命中させる。
指に寄せられた呪霊はそこまで階級が高くなかった為、すぐに祓う事に成功した。
跡形も無く消える呪霊の手の拘束が解かれ、吉野さんが床に倒れ込む。
両脚が原型を留めない程深く傷つけられているが、まだ息がある。
今ならまだ遅くはない。助けられるんだ。
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そす(プロフ) - もんもんさん» 喜んで頂けて何よりです! 久しぶりにコメント頂いてめちゃ嬉しいです!! (2021年8月27日 15時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
もんもん - 順平くん高専にはいるんですか?!ほんとありがとうございます。ほんとハッピーって感じです。ほんと嬉しいです。 (2021年8月27日 15時) (レス) id: d0f192cd35 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - おにぎりさん» コメントありがとうございます!! 余談最後の方まで見ていただけてめちゃ幸せです! 新しいコメント見た瞬間「やったぁ!」って声出ました! 元ネタをご存知の方がいらっしゃって嬉しいです! リアルも更新も頑張りますね! (2021年6月18日 20時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
おにぎり(プロフ) - 全力少年の奴と言われて久々に思い出して笑ってしまいました。本当に初投稿作品なのか疑ってしまうほど文章が綺麗に纏まっていて読んでいて楽しいです!最近暑くなってきているのでご自愛ください! (2021年6月18日 19時) (レス) id: 694d1d013e (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - 鮭さん» コメントありがとうございます!! 大絶賛に作者のたうちまわってます! 色々忙しいですが更新頑張りますね!! (2021年6月13日 19時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そす | 作成日時:2021年5月22日 13時