“元”杉沢第三高校一年担任教諭は泰然自若でありたい。（3）【呪術廻戦】

91.特級呪霊 ページ28

ほんのちょっと前の記憶を遡ってみたが、私と虎杖くんが受けたガイダンスは「課外授業」「領域展開」のみ。


「先生……俺たち10秒前まで高専にいたよね、どーなってんの？」

「んー、トんだの」

『説明する気ないでしょ……』


この際もう手段や理由は詳しく問いたださないことにする。だとしてもだ。

……こんな見るからにヤバそうな呪霊との闘いの最中に、呪術初心者二名を高専から引っ張り出して観戦させる奴があるか、普通。

普通を求める私が悪いのか。そういう認識で本当に良いんですね先生。


「……何だ、その餓鬼と女は。盾か？」


…………やっぱり間違いない、コレは特級だ。

呪いとしての気配や、周りの焼き払われた森林などの被害状況、更に会話も可能らしい。

段々と落ち着くにつれ取り戻されていく感性が、私たちの内心を狼狽えさせる要素へと変わった。


「盾？違う違う、言ったでしょ？見学だって。今この2人に色々教えてる最中でね」

「ま、君は気にせず戦ってよ」


しかし最強はこの通り。ここまでやってもあくまで見学というスタンスといつもの余裕さを崩さない。

あの呪霊は負傷しているとはいえ、屋上で対峙した指一本分の両面宿儺よりも強さは上をいくだろう。ひしひしと殺気が伝わってくる。


ほんと、パワーバランスの感覚がおかしくなりそうだ。

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