“元”杉沢第三高校一年担任教諭は泰然自若でありたい。（3）【呪術廻戦】

87.乱入 ページ24

「普通に提案するだけじゃ遠慮してグダるのがオチだしね」

『え、行くってどういう………！？』

「喋ったら舌噛むよっと」


何を始めるのかと聞き返す間もなく小脇に抱えられ、そのまま空中へとダイブする。2階の教室の窓から。

悲鳴が喉の奥につっかえてむせかける中、五条先生はジェット機みたく真一文字に突撃からの乱入をかます。

一瞬で生徒達の姿が双眼鏡で見るよりもずっと近くなった。めちゃくちゃ視線が突き刺さっていっそ痛い。


「いきなり空から失礼、A先生が皆さんの修行風景を是非とも見学したいそうでーす！」

『えっちょ、ちょっと五条先生何考えて』

「じゃあ僕はこの辺で、みんな頑張って切磋琢磨しちゃってねー」

『私に無理難題と猛烈な気まずさを残して去って行かないで下さい…！！』


虚しく叫び終わる前にはもう五条先生の姿は何処にも無かった。マジであの人音どころか光より速いんじゃないか。

精神を疑い出すレベルのトリッキーさに全くついていけない。え、今更だけどちゃんと教えてくれるって言わなかったっけ。完全に話が違う。


いやそれより……やばいやばい、どうしよこの状況。絶対お邪魔しちゃったでしょ、大事な時期で大事な時間なのに。

どう言い繕おうかとあたふたしていると。


「……まぁ、仕方ねぇよな。悟だし」

「五条先生だから仕方ないですね」

「しゃけしゃけ」

(あ、それで通じるんだ………)


人徳の無さも稀に救いとなる事を初めて知った。

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