“元”杉沢第三高校一年担任教諭は泰然自若でありたい。（3）【呪術廻戦】

94.対処法 ページ31

「悠仁達が少年院で体験したのは、術式の付与されていない未完成の領域だ。ちゃんとした領域なら一年全員死んでたよ。恵は分かってたんじゃないかな？」


生得領域は、術師の精神世界を具現化した空間と言い換えられる事もあるらしい。

術式ではなく領域に呪力を流すと、ここまで激甚なものになるのか。


「領域を広げるのは滅茶苦茶呪力を消費するけど、それだけに利点もある。まずは環境要因によるステータス上昇」

「おぉ、ゲームの「バフ」みたいなもんだね」

『それが私達にとっての「デバフ」にもなると』


人間が引き摺り込まれればひとたまりもないこの領域も、呪霊からすれば住処のようなものだろう。その差異は大きい。


「もう一つ」


五条先生は続けながら、目先に迫りかかっていた自身の何倍もある隕石を裏拳打ち一発で粉々に破壊した。

忌々しげに呪霊が舌打ちする。もしこの人が居なかったら私達は領域に入った時点で速攻丸焦げか圧死していた。


「領域内で発動した“付与された術式”は、絶対当たる」

「絶対！？」

「ずぇ〜ったい」


“かわす”という選択肢は無い。一発でも当たればアウトの術式との相性は抜群だ。


『対処法とかも無いんですか？』

「それは幾つかある。今みたいに［呪術で受ける］か、コレはあまりお勧めしないけど［領域外に逃げる］。大抵ムリ」


確かに逃げ場は見つからないし外側の状況も読めない。

しかし領域が呪力切れなどで解除されるまで、呪術で相殺し続けるというのも骨が折れそうだ。

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