副担任を落としたい。【五条悟】

3.自覚症状 ページ5

でもだとしたら、本当のところ原因は一体何なんだろう。

前述の食中毒か、夏バテによる寝不足か、もしくは上絡み(ストレス性)のものか。

特級術師は日頃から激務に追われる毎日だし、たまにこういうハプニングがあってもおかしくないのかも。


『何か自覚症状はありますか？ 眩暈とか倦怠感とか』

「自覚症状、ね。あるっちゃメッチャあるよ」

『あるんですか！？』


何故か自分の病状について話すというのに、五条先生は心なしか乗り気で詳細を語りだす。


「前兆はあったけど、ハッキリしたのはつい昨日からかな？ いつもより鼓動と血流が5割増しくらいに激しくなって、心臓を有刺鉄線でぐるぐる巻きに締め付けられた感じに痛む……」

『えぇ！？』


あまりに痛々しいワードが飛び出てきた事に驚愕し、不躾にも途中で声を上げてしまう。

どうやら思ったより事態は深刻だ。

心配と焦りで冷や汗をかきそうになる中、私の反応を見越していたように五条先生は軽く笑った。


「ははっ、医者にかかるみたいな問題じゃないから大丈夫だよ。まぁ君が思ってるのよりかはずっと厄介だと思うけど」

『そ、そうですか？』


本人が大丈夫と言うならそれに越した事は無いけど、どうも前後の文が食い違っている気がする。

反転術式でも治せない厄介な問題って、何を患っているんだろう。

これまでの知識経験を総動員し、症例から思い当たるものは無いかと脳内を探り漁る。


そして素人ながらに行き着いた仮説に、サッと血の気が引いた。

いつか読んだ医学書に記載されていた病名に思い当たるものがある。

心臓が鳴る回数が増えて、締め付けられるような痛みを伴う……


(まさか、心筋梗塞か狭心症……！？)


気が気じゃなくなるのも無理はない。彼が病に伏したりしたら冗談抜きで呪術界の力量関係(パワーバランス)が崩壊する。

それに私としては恩人が藻掻き苦しんでいる姿なんて見たくもないし想像したくもない。


もしや、普段のあの糖分過剰摂取が生活習慣病になってるのか。

それも元を辿れば結局疲労回復の対策だろうし、やはり今はちょっと休んだ方がいい。


よし、結論が出た。早急に休んでもらおう。

ちなみにこの間0.02秒である。

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