12.人は中身 No side ページ14
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超えてはいけない一線と逆鱗の上で軽快に足踏みをする五条に、思わず伏黒と釘崎は青筋を立てる。
年甲斐も無く拗ねる28歳児はそれ以上に疑問に思う事があるようだ。
「そもそもこんなグッドルッキングガイがお相手なのに何が不満だって言うのさ？ 超優良物件じゃん」
「性格だろ」
「まぁ、A先生は人を見た目で判断しねーからなぁ」
「………悠仁、今なんて？」
虎杖は暴言を吐いた釘崎ではなく自身が呼び止められた事が意外で、一瞬だけ呆けた。
「え、だから、A先生は人を見た目で判断しないって」
「…………ソウダッタネ」
「声ちっちゃ」
五条の持つ最大のアドバンテージが粉々に砕け散った瞬間だった。
何という誤算だ、と五条は思わず肘を立てて交差した指に顎をつける。
(…硝子が言ってた以上に手強いな、こりゃ)
ぎゃいぎゃいと教え子が騒ぐ中、五条は暫し物思いに耽った。
考えてみれば、全くその通りだ。
人の頬や手から新たに口が出てくる光景を見ても、生徒がパンダそのものだとしても、今まで彼女がそれに偏見を抱いた事などあっただろうか。
その人徳もまた自分が彼女に惹かれた理由の一つなのだろうと、今では思う。
生まれた家柄、数百年に一度の鬼才、絶対的な強さ、加えてこの容貌。
大体の女は五条が求めずとも向こうから幾らでも群がって来た。
(………そんなもの、いざと言う時にはこうも役に立ってくれないのか)
何とも理不尽な話だ。
だがまぁ、この哀愁も彼女が教えてくれた新たな感情の一つか、と甘んじて噛み締める。
ふぅっ、と五条は軽く息を吐き、腕を崩して遥か遠くを見つめながら言葉を溢した。
「……でもさ。僕、諦めたくないなぁ……」
その瞬間、五条の瞳は部屋の中にいる誰も、ましてや何も捉えていなかった。
苦笑いで状況を伺っていた虎杖と吉野、ひいては先程までは射殺さんばかりに五条を睨め付けていた伏黒と釘崎も、思わず押し黙る。
どこか虚ろな目の奥に宿った、執着心にも似た途方も無い情意が垣間見えた。
「………………」
4人はその温度差に、一同に風邪でも引きそうになった。
“最強”でも“特級呪術師”でもなく、ただの“五条悟”という一人の男の発した言葉であったからこそ、それは例えようの無い重さを孕んでいる。
“諦めたくない”と口では言いつつ、五条に諦める気など毛ほども無い事をこの場にいる全員が察していたが、誰もそれを指摘しようがなかった。
13.いつしか Side：五条→←11.轟沈 No side
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そす(プロフ) - マリオットさん» コメント感謝です！ 現在リアルが非常に多忙かつアイデアが浮かばないので執筆活動が疎かですが、ご感想を頂けると毎度はしゃぎ回ってます！ (2022年11月6日 13時) (
レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
マリオット - 初コメ失礼いたします！大好きです！！続いてほしいです！この作品に出会えて良かったです！！「第二人格は特級らしい」も全て読ませていただきました！本当にありがとうございました！！🙇 (2022年11月3日 11時) (レス) id: 4a1e7dbbbb (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - 愛鞠_あいまり_さん» 大変遅くなりましたが、初コメントありがとうございます！！ (2021年11月20日 23時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
愛鞠_あいまり_(プロフ) - 初コメ失礼します。需要ありますね！とりあえず一言言わせていただくとすきです (2021年10月5日 17時) (レス) @page34 id: 235ec261d4 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - 悠希さん» コメントありがとうございます！ (2021年9月10日 20時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そす
| 作成日時：2021年8月5日 17時
