杉沢第三高校一年担任教諭は冷静を心がけたい。【呪術廻戦】

24.感謝 ページ26

……ちょっと話転換するか。


『話の前に、色々あり過ぎてまだちゃんとお名前を伺ってませんでしたね。苗字を一回しか聞いてないんですけど、五条さんで合ってますか？』


あーでも、あの時結構ボーっとしてたし、聞き間違いだったら相当気まずいやつだなこれ。


「合ってるよ。五条悟、呪術高専で一年を担当してる」

「伏黒恵は元々僕の受け持つ生徒で、杉沢第三高校への転入理由は宿儺の指の回収だ」


よしちゃんと名前も展開も合ってた、セーフっと。


『その辺りまではだいたい想像通りです。話がしたいのはそこから先のこと』

『……今回の件、虎杖くんの担任としてどうしても貴方に言いたい事がありまして。この度遥々抜け出してきた次第です』


軌道修正としてはこんなもんかな。


「……それはまた、随分とせっかちだねぇ」


五条さんの声には呆れを通り越して感嘆すら含まれている。


『何しろ神出鬼没な方が多いので』

特に貴方とか。


ちょっとでも安静にしてたら、その隙にするっとすり抜けられそうで気も休まらないんだ、こっちは。

だからせめて、有耶無耶にしてしまう前に私の言いたいことくらい直接言わせて欲しい。
　
私はベンチから立ち上がり、五条さんと向かい合った。



『五条さん────本当にありがとうございました』



『虎杖くんに新たな時間を下さった事、心より感謝申し上げます』




彼に頭を下げるのは通算二度目。


前回と大きく違うのは、今回は込められた感情が懇願ではなくて感謝であるため、私の胸の内が非常に穏やかであることだ。

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