杉沢第三高校一年担任教諭は冷静を心がけたい。【呪術廻戦】

22.限界 ページ23

「ところで、君についての詳しい話を聞き忘れてたね」


五条さんと目隠し越しに視線が合う。

やっと落ち着いて自己紹介と質疑応答の時間が取れる。



『私は────杉沢第三高校一年担任教諭、AAです』

『虎杖くんは、私の受け持つ生徒の一人です』

『彼は私にとって、自慢の生徒の一人であり、私の自慢の生徒にとって、命の恩人です』

『…だから……どうか─────』



やべ、もう限界。そんないきなり来られたって困るよ限界。

今まで血出てるけどゴリ押しでいけてたノリじゃんか。

まだ話全然終わってないよ。ほんとなんでいっつも空気読めないのかな私の身体。

……いや違う、安心しきったせいで全身から力抜けてるんだ、これ。


もう話続けるの無理。もう立ってられない。口も瞼も開けられない。

血で濡れたブラウスがずっしり重い。これ全部私の首から出た血？我ながらすごい量。

服の重みに耐えきれず倒れるなんて、平安時代の十二単か。

あれ、心臓って首にもあるんだっけ。ずっとバクバクいってるけど。

伏黒くんの声が遠くの方から聞こえる気がするけど、返事出来ない。ごめんね。

どうやら貧血……ってか、出血性ショック死コースを順調に通過中のようだ。

最悪なことに、ゴールまではそう遠くなさそう。




(………ま、いつかの虎杖くんの身体で直々に行われる絞首刑コースより百倍マシか)

(後生の頼みですから、皆生きてて……生かしてくださいよね？)

(仮にもしあの世で会うなんて事になったら、先生が突っぱねてやるだけですけど！)

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