杉沢第三高校一年担任教諭は冷静を心がけたい。【呪術廻戦】

17.最強 ページ18

んー？と顎に手をやりながら、五条さんはまじまじと虎杖くんを上から下まで凝視する。

……いや、あれ前見えてるのか？

「ははっ、本当だ混じってる(・・・・・)よ。ウケる」

いや、なんか前以上のもの見てたっぽい。

五条さんは虎杖くんに続けた。


「体に異常は？」

「特に……」

「宿儺と代われるかい？」

「スクナ？」
　
『先程伏黒くんから説明を受けた両面宿儺のことですね』

『虎杖くんが食べちゃったあれです』

「そ、ご名答！」

「あぁ、うん。多分できるけど」


できるんだ、あらすごい。なんて言ってる場合か。いや実際すごいんだろうし言ってもないけど。


「じゃあ十秒だ。十秒経ったら戻っておいで」

「でも…」

『駄目です、どう考えても危険過ぎます！』


準備運動を始める五条さんに思わず口を出してしまう。

仔細がわからないとはいえ、せっかく引っ込んだのに呼び起こしていいものじゃない。

あいつが出たら今度こそ十秒どころか、一秒もあれば人死にが出てもおかしくない。

せめて場所だけでも改めなければ。


私たちの心配とは裏腹に、五条さんはニヤリと笑って見せる。


「大丈夫、僕最強だから」


鼻筋と口元しか見えない顔だが、そこからは一片の慢心も虚勢も感じ取れなかった。

(………なんだろ、この妙な安心感)

ましてや初対面だというのに。

この人は、他の誰とも違う。この人がいれば多分なんとかなる。

そんな気さえ不思議としてくるのはなぜだろうか。

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