杉沢第三高校一年担任教諭は冷静を心がけたい。【呪術廻戦】

1.忘れ物 ページ2

・


私は宮城県仙台市立杉沢第三高校一年担任教諭、AA。

今年の春にこの高校に配属となり、入学式から二ヶ月ほど経った6月の頃。


朝のHRから一日が始まり、授業と清掃の後、終礼。会議を終え、愛車のバイクに跨りマンションの自室へと帰宅。うん、いつも通りの事だ。

帰り道にこうして今日あったことを一つ一つ思い返すのもまた、いつも通りの日課である。


(今日もほんと凄かったなー虎杖くん、2時間目の体育の授業といい放課後の高木先生との砲丸投げ対決といい、世界チャンピオンも顔負けの記録だよ。先生その身体能力が羨ましいな、切実に)

(こうして若者達の素晴らしい才能を間近で見れるのが先生の役得なんだよねぇ、おまけに明るくていい子ときた)

(うちの学校はいい子多いなー、色々不安も多いけど生徒に恵まれてほんとによかったよ)

(彼らの笑顔を見れば職員会議の疲れも癒されるというもの……けど流石に今日は……いや、今日も疲れたなぁ)


んーーっ、と伸びをしてからドアノブに手をかける。


『ただいまー』


返事は無い。だが気合いを入れるため声に出して予定を考える。


『よーし、順序立てるか。まずお茶入れてから書類の作成と見直し、週明けの授業のシミュレーションとそのためにもうちょい予習復習して、その前に洗濯も回さなきゃ。そーいや洗剤と柔軟剤の予備まだあったっけ………』


────


『ふぁ〜あ……！？やばっ、床で寝ちゃってた！学校…って今は午後か、良かった。午前だったら遅刻で完全にアウトだけど』

『あーあ、やっぱ紅茶じゃなくてコーヒーにしときゃよかったかも』

『それで今何時………ん？』


スマホが無い。
身体じゅうをまさぐり辺りを見回すが無い。


(……もしかして、学校の会議室に忘れてきた？)


はぁーっ、と溜息を吐く。どうしてこうなんだ私はいつも。そもそもなんで今まで気づかなかったかなあ。

ちょっと疲れが溜まってたのかも。
よし、切り替えていこう。

時刻はもう11時を過ぎている。
明日は土日で学校も無い。


『……よーしっ！』

くよくよしていても仕方がない、取りに行くか。

2.嫌な感じ→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す